-4-目覚め ページ5
「…コイツが起きて飯を食わせ次第入隊試験を即時行う」
その言葉に一同息を飲んだ。
「ちょ、ちょっとボス、早すぎるわ！」
「マジでかよ…」
「それは流石に無茶なんじゃない？」
「むぅ…」
「本気かザンザス」
そんな彼らを他所に、淡々と話を進めていくザンザス。
「筆記は要らねぇ。実戦のみでいい。相手は…カス鮫とベル、お前らでやれ」
「マジ、俺？」
「ゔぉぉおおいっ！俺らがこのガキの相手をしろだとぉ！？」
「…なんか文句でもあんのか」
威圧的な声と、肉食獣の様な瞳で睨まれれば、流石の 暗殺のプロといえども息を呑む。それ程までに、彼の持つ殺気は恐ろしかった。
「…わかった…いいだろう」
「しししっ、りょーかいボス」
その時、眠っていた少女が目を覚ました。
「…んぅ…」
もぞもぞとザンザスの膝の上で身をよじり、薄らと目を開ける。
「…起きたか」
「…ザン、ザス…？」
とても小さな声だったが、その声のなんと美しい事か…！
真っ赤な紅蓮の髪に、開かれた瞼の裏から現れた輝く金眼。
「…ここ、どこ？」
「俺の城だ。言ったろう、俺の元で生かしてやる、と」
「…あの人たち、誰」
ズビシと指を差せば、ザンザスは一人ずつ名前だけ教えていった。
「…独立暗殺部隊…ヴァリアー…？」
「そうだ」
「…へー…」
暗殺部隊と聞いて、普通は怖がるはずなのだが。
まだ寝ぼけているのか、彼女は息を吐くついでのようにそう言った。
「目が覚めたのね！ちょうど良かったわーん♪」
と、ルッスーリアが湯気を立てる器を持ってきながら少女に目を向けた。
「はい。ご飯よー♪見たところ何も食べてないみたいだから、胃をびっくりさせない様にお粥にしたわ♪」
そう言いながら目の前のテーブルに置かれたお粥。
少女…Aはじっとそれを見つめた。
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作者名：紅雪 | 作成日時：2019年4月7日 3時
