ページ ページ42
マリー「サーノリア……聞いてちょうだい……。
シオックの長が明日、戦士たちを一堂に集めて、一気にヴァンパイア狩りを行うと言っているのを聞いたの……。
何とか止めようとしたんだけど、私一人じゃどうすることもできなかった……。
このままじゃ、明日……シオックの戦士たちが一斉にここへ攻め入ってくるわ……。
だからお願い……。
私と一緒にどこか遠くへ逃げましょう……？」
大粒の涙を流し、震える声でマリーはサーノリアの腕の中でつぶやいた。
突然泣きながら自分にしがみついて懇願してくる彼女の肩を抱き、サーノリアは事の重大さを目の当たりにしたのだ。
明日、シオックの民の一斉攻撃が始まる。
そうなれば、きっとヴァンパイアは全て狩り尽くされ、全滅してしまうだろう。
それほどまでに、ヴァンパイア一族は数を減らし、既に戦う気力さえ残されてはいないのだから。
サーノリア「マリー……泣かないでくれ……。
さぁ、顔を上げて？」
マリー「サーノリア……。
お願い、一緒に来てちょうだい……。
私は、あなたとならどこへだって行けるわ……」
サーノリア「……。
マリーの気持ちは嬉しい……。
俺もマリーとならばどこへだって行ける……。
マリーは俺にとって、大切で愛しくて、特別な存在だ……。
でも、それと同じぐらい、俺は仲間の事も大切に思ってる……。
だから、あいつらを置いていくことはできない……」
マリー「なら！皆で一緒に逃げましょう？
ここよりももっと遠くの場所へ！」
けれども、サーノリアは穏やかな表情で首を横に振った。
サーノリア「どこへ逃げても、きっと同じことの繰り返しになるだけだ……。
俺達ヴァンパイアはどこへ行ってもきっと受け入れてもらえない……。
逃げた先でまた同じように弾劾され、迫害される……。
もしくは、シオックの民が追いかけてくるかもしれない……。
それに、そんな奴らから一生逃げ続けて生きていくなんて、そんなの生きている意味がない……」
マリー「何を言ってるのよサーノリア！！
それじゃああなたは、このまま殺されるとでもいうつもりなの？！
そんなの許さないから！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2021年2月20日 16時
