ページ ページ5
勇斗「Aは……俺の側からいなくならないよな……？」
すると、勇斗さんは小さな声でそんなことをつぶやいた。
A「え……？」
勇斗「Aは……俺とずっと一緒にいてくれるよな……？」
A「ど、どうしたんですか急に……」
勇斗「皆……いなくなっちゃうんだ……。
家族も……友達も……大切な人も……俺を置いて……皆いなくなっちゃうんだ……。
こんなに寂しくても……つらくても……俺にはもう……誰もいない……」
とろんとした瞳の奥で、勇斗さんの心の奥にある悲しさ、寂しさ、みたいなものが、一瞬見えた気がした。
勇斗さんは元の時代でずっと一人だったらしい。
家族も仲間も、皆人間のヴァンパイアハンターに殺されたって。
そのつらさや悲しさは、私には想像を絶する。
勇斗さんが時々見せる子供っぽいところは、そんな寂しさからくる甘えたい願望の表れなのかも。
A「わ、私は……どこにも行ったりは、しませんよ……？ここは私の家ですし……。
だ、だから、安心してください……」
勇斗「そっか……」
まぁ、今のこの状況は安心できないけど……。
そしてそれを聞いた勇斗さんは少し嬉しそうにちょっとだけ微笑むと、突然、こんなことを言いだした。
勇斗「なぁ……A……好きだよ……」
え？
今、勇斗さん、何て言ったの？
き、聞き間違い、だよね……？
勇斗「Aのこと……愛してる……」
ちょ、ちょっと待って！！
今、勇斗さん、私の事、愛してるって、言った？
好きって、言った？！
A「や、やだ勇斗さん！冗談止めてくださいよ！酔っぱらいすぎですよ！あ、あはは！」
そうだ。
勇斗さんは酔っぱらてるから変なこと言ってるだけだ。
そうだそうだそうだそうだ。
背中中変な汗がぶわーっと出てくる。
ヴァンパイアも冗談なんて言うんだー……あはは……。
勇斗「冗談なんかじゃねーよ……」
A「そ、そんな……か、からかうのはやめてくださいよ……」
そして、勇斗さんの体を押しのけようと彼の体に手をついた。
でも、勇斗さんはそんな私の腕を掴むと、ベッドに優しく押し戻す。
勇斗「からかってなんかない……」
A「は、勇斗さん……」
勇斗「人間は……恋に落ちるとキスをするって、昔、教えてもらったことがある……。
だから……俺と……
キスしよっか……？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2021年2月20日 16時
