ヴァンパイアに恋しちゃいました【M!LK】④ (ページ31)

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女性「じっとしていて……」

サーノリア「や、やめろ……！俺に触るな……！」

女性「本当は目もかすんで、息をするのもつらいでしょ？
すぐに良くなるから、もう少し我慢して……」

腕を振り払おうとするサーノリアに構わず、彼女は傷口をふさぐために止血をし、塗り薬を塗りつけ、すばやく包帯を巻きつけていく。
その腕さばきは類をみないほどに的確で迅速。
彼女の医者としての腕ははるか遠く異国の地にも知れ渡るほど常人のそれをはるかに凌駕していた。

女性「はい。
少しは楽になったでしょ……？」

サーノリア「…………」

自分の体から痛みが引いて行くのを感じ、サーノリアは彼女を不思議そうな表情で見つめていた。

女性「動ける……？」

そう尋ねられ、サーノリアは浅くうなずいて答えた。

女性「そう……。良かった……。
なら、一緒に彼らを供養してあげましょう？せめて、安らかに眠れるように……」

彼女の言葉には不思議な力がある。
さっきまであんなに人間が憎いと思っていたのに、サーノリアは彼女に従い、殺された仲間のヴァンパイアを弔うため、彼女とともに近場の湖のほとりに穴を掘ったのだ。
決して人間に屈したわけでも、心を操られたわけでもない。
彼女のまっすぐな瞳と、言葉と、そして心に、サーノリア自身も素直にそれに応じたまでの話だった。
そして、仲間を埋め終わり、サーノリアは彼女とともに手を合わせた。