ヴァンパイアに恋しちゃいました【M!LK】④ (ページ25)

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そしてこぼれる涙を拭うと、太智の胸倉から手を放し、勇斗さんは立ち上がって去っていく。

A「勇斗さん！待ってください！どこ行くんです？！」

勇斗「先に帰る……。Aはあいつのこと診てやれ……」

そう言って、勇斗さんは足早に夜の闇に紛れて消えていった。
勇斗さん、一体どうしちゃったんだろ……。
でも今はそれより……。

A「太智、大丈夫？」

放心状態で地面に倒れこむ太智。
ほっぺは勇斗さんに殴られて真っ赤に腫れて、血が口の端から滲んでいる。

太智「お、俺は……何てこと……。
あいつがいなかったら……もう少しで、俺は……Aを……」

A「大丈夫だよ……。
気にしないで……。私は何ともなかったんだし……」

太智「…………」

けれども、太智はもうそれ以上何も言ってくれませんでした。

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その様子を息をひそめ、物陰でスマホ片手に隠れて見ていたひとりの青年。
赤いジャケットを羽織り、その胸には「スタダテレビ」の文字。
彼は今しがた目の前で起こった出来事を撮影し終わり、興奮気味に白い息を吐き出していた。

「何や今の……。あれって……本物のヴァンパイア……？！
こ、これは大スクープや！！プロデューサーに早速連絡しやんと！！」

彼は興奮冷めやらぬまま、決定的瞬間を治めた自分のスマホを大事そうにポケットにしまい込み、足早に夜の街へと消えていった。

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