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A「ただいま帰りました」
勇斗「あ、お帰りー」
と、勇斗さんは自分のタキシードのワイシャツを着込み、濡れた髪をタオルで拭きながら奥から現れ、にこっとほほ笑んでいた。
勇斗「一番風呂いただいちゃいました」
A「えぇ、ずるーい！っていうかこんなお昼からお風呂なんて優雅な」
勇斗「まぁいいじゃんいいじゃん」
笑って私の頭をポンポンする勇斗さんの体から入浴剤のいい香り。
それに濡れた髪の勇斗さん、ちょっとかっこいい、なんて思っちゃった。
勇斗「ん？どうした？俺の事じろじろ見て」
A「えっ？あ、いや、別に……。
そ、そう言えば！今日はクリスマスイブですから、一緒にクリスマスパーティしましょ！
お母さんがケーキやご馳走準備してくれてますから！」
勇斗「まじっ？！ぅわーい！」
でもやっぱりはしゃぐその姿は子供っぽいんだよなぁ。
まぁ、それも可愛いんだけど。
そして私たちは夕方ごろに食卓にチキンやピザにケーキを並べてクリスマスパーティを行うことに。
勇斗「ママさんは仕事？」
A「そうなんです。お医者さんにクリスマスもイブも関係ないんですよ。残念ながら……」
勇斗「そっか……。大変だな……。
じゃあ毎年Aは一人だったのか？」
A「まぁ、そうですね。
たまに太智の家族と一緒の時もありましたけど、いつまでもお世話になるわけにもいきませんしね」
勇斗「ふーん……」
A「だから今年は嬉しいんですよね。勇斗さんと一緒だから」
勇斗「そ、そっか？お、俺もこんなパーティなんてしたことないから、ちょっと嬉しい、かも……。それにAと……」
A「それに私と？」
勇斗「あ、いや……別に何でもねえーよ……」
A「ん？じゃ、今日は一緒に楽しみましょ！」
そして、私は勇斗さんのグラスにトマトジュース、ではなく、お母さんが買ってきてくれていたシャンパンを注いであげた。
勿論私はシャンパン風のジュース。
勇斗「これ何？」
A「シャンパンっていうお酒です。
クリスマスにはシャンパンらしくって、お母さんが勇斗さん用に買ってくれてました」
勇斗「へえ。綺麗な色だなぁ……。俺、酒なんか飲んだことないや……」
A「私は未成年なのでジュースで。
じゃあ乾杯！」
勇斗「かんぱーい！」
この日、この時までは楽しかったのです。
まだ乾杯しかしてないこの時までは。
それなのに、まさかこの後、とんでもないことが起こるとは、知る由もなく……。
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作者名：milkssss | 作成日時：2021年2月20日 16時
