甘党宣言

《赤》赤い部屋にはシゲオカダイキがやって来る。 ページ7

〆．

赤い部屋にはシゲオカダイキがやって来る。

〆．



「なあなあっ、俺、めっちゃ甘いの好きやねんっ」



「…………？知ってるけど？」



今日だってパフェを美味しそうに頬張っていたくせに、どうした。



「………ちょ、チョコとか！だいぶ好きやで！？」



「それも知ってるけど」



改めて言わなくても、あなたのことはよくわかってる。



好きだから、何でも知りたいから。



「…………………なあ」



「なに？」



「明日なんで出かけるん」



「友達と約束してたからね。楽しんできまーす」



「むぅ！」



明日は世にいうバレンタインデー。



もちろん目の前にこんな可愛い恋人がいる以上は、私もその波に乗ろうとするわけで。



ただし、自分の性格上、あまり素直になれなかったりする。



友達とはバレンタインの特別な料理教室に参加し、チョコケーキを作る予定。



………目の前の都市伝説男がどれだけかぎ回ろうと、家にはチョコの材料なんてないし、私は明日出かける。



「そういえば見て、また出てるよ？動画。『都市伝説検証！赤い部屋にシゲオカダイキは来るのか？！』」



「あ、ほんまや」



興味がそれて一安心。



「すげ、めっちゃ真っ赤やん」



楽しそうな大毅くんを横目に、明日の持ち物を確認した。



………翌日、家を出るのは本当に大変だった。



「行かんでぇええ！！！」



ぎゅううと後ろから抱きつかれ、身動き取れなかった。



「今日出かけない代わりに、一生キスしないのはアリかも」



と言って逃げてきたけど。



そんな朝のやり取りをした数時間後。



「ただいま〜」



「Aーっ！！！！」



「うっ」



正面からタックル。



ケーキを守ってなんとか逃げようと試みるも、不可能。



「寂しかってんで！？俺、めーっちゃ寂しかってんで！？」



「あー……ごめんね？一緒にこれ食べよ？」



「？」



「ハッピーバレンタイン」



ケーキの入った箱を差し出すと、大毅くんはみるみる笑顔に。



「も〜、落としてから上げる天才やな！！好き！！」



幸せそうに笑うから、可愛くて可愛くて。



「勝手に凹んだんでしょ？気持ち込めたから味わってね」



「当たり前やん♪チョコもAも大好きやで」



もう、照れるようなこと言うなぁ。



「都市伝説男のくせに」



「都市伝説関係ないやろっ！」



〆．

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