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「やっぱ、俺の目は正しかったな。Aちゃん、磨きがいあるわー」
私を改めてじっくりみて、満足そうにドヤ顔で中島くんがそう言った。
夏休みに入ってから、夏期講習が終わると必ず中島くんが塾に私を迎えに来た、
それが1週間もすれば日課になっていて、今日もこうして私の隣にいる。
Tシャツにジーンズ。
普段学校の男の子は制服姿ばっかりだから、こうして私服姿を見るのはなかなか新鮮だ。
それにしても…
こんなラフな格好なのに、中島くんが着ると、足が長いせいかとてもオシャレに見える(ただし、ちょっとチャラさがあるのは否めない)
同じ塾の女の子たちや道ですれ違うおばさんも中島くんのこと見てるしなぁ…
こころなしか男の人までも、中島くんを羨むように見ているような気がする。
うーん…
並んでいる私、どう見られているんだろう。
なんであんな子が?とかありえない!!なんて思われていたりするんだろうか。
学校のみんなは私と中島くんが付き合ったなんてまだ知らないけれど…
休み明けに知ったら、大変なんじゃないかな。
まぁ…
それまで付き合っていればの話だけれどね。
「あ…、Aちゃん、見てコレ」
「うん?」
帰り道、
商店街を抜ける途中
中島くんが指差したのは近所の神社で
毎年開かれるお祭りのポスターだった。
「来週末だって。花火もやるんだね」
「うん、小さい頃はよく行ったなぁ…」
小学生の頃は家族とよく行った、夏休みの楽しみの1つでもあったこの夏祭り。
気づけば夏期講習三昧でここ数年開かれていることは知っていたけど行ってない。
「今年は、2人で行こうか?」
「ううん」
今年は珍しく、夏期講習も特に他の予定はなかったけど、
なんとなく中島くんと行こうって気持ちにはなれなかった。
「コラ、俺の彼女でしょ?」
プクっと頰を膨らまして言う中島くん。
世の女の子達はこんな仕草にもキュンとくるんだろう。
でも私は他の事が気になる。
ー彼女…
果たして私は彼女と言っていいんだろうか…
中島くんのことが好きかと聞かれたら、私はそこまで身のほど知らずではない。
好きというより、それ以前に好きと言う感情さえ持ってはならないような気がしてならない。
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作者名:しおん | 作成日時:2017年10月29日 21時