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「じゃあ、俺、午後物理だから。Aちゃんはこのままここで英文法だっけ?」
「あっ、うん」
「、今日何限まで?」
「えと、5限」
「帰りさ、出口で待ってるから。また後でね?」
「う、うん、またね!」
お昼を食べ終わると聡くんはそう言って、教室から出ていった。
なんだか普通に聡くんと一緒にいるなぁ、あたし…
「ここ、座ってもいい?」
聡くんがいなくなってから、そう声を掛けてきたのは、ショートカットの女の子だった。
冬休みだから私服姿だけど、普段は確か隣駅の城北女子高校の制服を着ていたはず。
ほとんど話したことはないけど、
半年ぐらい前からいくつかの授業でクラスが一緒になったことがある。
「山田さんと松島くんって、最近いい感じだね」
「そ、そう…かな」
「付き合ってるの?」
「う、ううん!」
「そうなんだ。ほのぼのして可愛い組み合わせだなと思ってたから、声かけてみたの。見た感じ、松島くんは山田さん一直線って感じだから、口説いてる最中ってとこなのかな」
鋭い…
というか、あからさまにそういう風に見えているんだろうか…
「真面目だし、かっこいいし、かなりいいと思うけど、松島くん」
「う、うん…」
「てか、松島くん、女の子に興味ないのかと思ってたのに、山田さんを好きだったのね」
「あ、あの…?」
スラスラと話を進めていく彼女について行けなくてて私は戸惑った。
「あ、ごめん。あたし予備校入った頃、松島くんのことちょっといいなって思ってたの。全然脈なさそうだったからすぐやめたけど」
「そう…なんだ」
「あ、邪魔しようとかそういうつもりじゃないのよ!?松島くんが好きになった子に興味があったっていうのはあるけど…、二人の雰囲気がなんか良かったから、応援したくなっちゃって。何かあったら協力するから、頑張ってね」
そう言うと、彼女はにっこりと笑った。
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作者名:しおん | 作成日時:2017年10月29日 21時