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「すごかったね、チャペル！讃美歌もきれいだったなぁ」
帰り道、大学案内のパンフレットもしっかり手に入れたあたしは、充足感に満たされていた。
「Aちゃんも、ああいうの好きなんだね。普通の女子っぽいとこ見れて意外かも、」
「松島くん、なんかそれ、微妙なコメント…」
「まぁ、事実だからなぁ〜、テストのたびにあんな鬼のような得点毎回取って、入学した頃は脳みそコンピューターなんじゃないかと思ったよ」
そう言うと、松島くんは思い出したように笑っていた。
「Aちゃん、俺と最初に予備校で会ったときのこと、覚えてる？」
「え…？」
「１年の秋ごろかな」
「お、覚えてない…」
「だよね。あの時さ、
俺教室わかんなくてキョロキョロしながら歩いてたらAちゃんとぶつかってさ。手に持ってたノートやら何やらばらまいて、Aちゃんが拾ってくれたんだよ」
「そう…だったっけ…？」
「うん。で、その中に、その頃読んでた本が一冊あって。Aちゃんが、あたしこの本好きなんですよって言って拾ってくれたんだ。で、数日後その本を読み終えた俺は感動して号泣！なんだ、あの子全然コンピューターじゃないじゃん！って思ったんだよ」
ぶつかって本を拾ってあげたなんて、あたしは全く覚えていなかった。
おそらく当時のあたしは、男の子なんてみんな同じに見えていたんだろうけど。
「学校では孤高の存在だったけど、話し掛けてみたら別に普通だしさ。笑うと可愛いのとか、俺だけが知ってると思ってたんだ。あの鬼のような成績に、いつか追いついて告白するって決めてた」
「そう…だったんだ…」
「でも、追いついてからなんて悠長なこと、もう言ってられないから、本気で中島から奪うよ」
そう言って、松島くんはあたしの手をとると、ポケットから何かを取り出し、あたしの手首につけた。
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作者名：しおん | 作成日時：2017年10月29日 21時
