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「ところでAちゃん、その後、松島くんとはどうなの」
廊下側の席で読書をしている松島くんを見ながら、中島くんが聞いた。
中間テスト後の席替えで、松島くんとあたしは廊下側と窓側の対極に席が離れたのだ。
「普通に、元通りだけど…」
「え…?普通に話してんの」
「うん。謝ってくれたから」
そうなのだ。
中間テストのゲームの一件は、あのあとすぐに松島くんが謝ってくれた。
好きだと言ったことも、ちゃんと諦めるから忘れていい、クラスでも塾でも会うのに気まずいのは嫌だから、これからも友達として関わっていきたい、そう言ってくれた松島くんにあたしは同意して、あの一件は許すことにしたのだ。
「ふーん。松島くんって、やっぱ油断できないよね」
顎に手を当ててうーんと考えている
中島くん。
「ん…?」
「まぁ、Aちゃんが優しすぎるのも問題だけどね」
そう言うと、中島くんはあたしのほっぺをムギュっと一回だけつねってから、自分のクラスに帰っていった。
中島くんと付き合い始めて、早4ヶ月。
毎日一緒にいるものの、あたしは未だに中島くんの本心がわからなかった。
松島くんとの一件とか、さっきのような振る舞いとか…
はたからみたら、愛されているように見えるのかもしれない。
ただ、始まりがあんなだっただけに、中島くんのことを、いまいち信用出来ないのだ。
中島くんが人並みな男の子ならまだしも
学年一位の成績に、スポーツ万能、あの容姿。
可愛い女の子達からモテるハズなのに
なぜ、あたしが?
と、どうしても思ってしまうのだ。
誰かに相談してみればいいんだろうけど、
中島くんと噂になってから話すようになった女の子にはこんなこと話す気にはなれない。
友達らしい友達が居ない私は自分の内に秘めておく他なかった。
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作者名:しおん | 作成日時:2017年10月29日 21時