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二学期が始まって
早一ヶ月。
相変わらず噂は収束せずに、あちらこちらで花を咲かせていた。
というのも、
ここ一ヶ月にあった球技大会やら体育祭やらで、
中島くんがこれでもかというほどに活躍し、
再度女子の心をがっちり掴んだせいにだった。
話したこともないような他クラスの女子に
いきなり馴れ馴れしく肩組まれて友達ヅラされたり、
今まで私の事を山田さんなんて呼んでた
同じクラスの女子に
"Aちゃーん! "
なんて呼ばれだしたりした。
「少しはおとなしくしててくれればいいのに…」
「何言ってんの。相変わらずクールなAちゃんの心を掴もうと頑張った結果でしょうが」
恨めしそうに言う私と打って変わって涼しい顔をしている中島くん。
「また適当なこと言って…」
「ところでAちゃん、もうすぐ中間テストだね」
相変わらずのキラキラスマイルを私に向ける中島くん。
「またゲーム、する?」
「する!」
私は即答した。
今度こそ、中島くんに勝つのだ。
勝って、この不本意な関係を終わりにしてやる。
元の生活に戻ってやる!
「じゃあ、Aちゃんが勝ったら」
「別れる!」
「うわ、即答でソレって、ヘコむなぁ…。うーん、よし!じゃあ、俺が勝ったら、キス」
ちょっとヘコんだ中島くんだったけど、
すぐに名案を思いついて表情が明るくなる。
「へ…っ!?」
「それくらい賭けないと面白くないでしょ。それに、勝つんでしょ?」
「う、うん…勝つもん!!」
「じゃあ、問題ないんじゃない?」
そう言って、中島くんは微笑んだ。
負けたら、ファースト・キス…
ううん、今度は勝つもの…
絶対勝つ。
「わかった。じゃあ、この条件で勝負する」
「オッケー」
「……」
その会話を、まさか松島くんが聞いていたなんて、この時は気がつかなかった。
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作者名:しおん | 作成日時:2017年10月29日 21時