子猫と勘違いして煉獄兄弟拾って来てしまった女性の話。

にゃんが二十二匹 ページ22

「あ、杏寿郎さん、おはようございます」
「……、あぁ！おはよう！」


杏寿郎さんはすぐに笑顔に戻り、起きあがった。
でも何となく気まずいな、と思っていると先にその雰囲気を壊したのは杏寿郎さんだった。


「今日も愛らしいぞ」
「え」


優しく髪を私の顔からどかしてくれた。


「顔に髪が掛かっていた」
「あ、ありがとうございます……」



この兄弟って、絶対元の時代でモテにモテまくっていたんだろう。



私は急いで立ち上がり、洗面所に逃げ込んだ。


ダメだ、最近は大きくなった二人と寝るのは私の心臓に。
いや、しかし、小さくすれば私の体の方に負担が。




もういい、とにかく顔洗って着替えて化粧しよ。



化粧した後は、みんなで朝ご飯を食べる。
料理は千寿郎くん。
掃除やゴミ出しは杏寿郎さん。あとお金管理も杏寿郎さん。
洗濯物干し、買い物は私。



というように役割分担をした。

もう二人が来てくれたおかげで負担が一気に無くなった。
もう朝に関しては土下座レベルである。





「行ってきます！」



今日も千寿郎くんの手作り弁当。めちゃくちゃ嬉しい。
会社の人から、『愛妻弁当？』とか言われちゃったりして。
羨ましいでしょー？と同僚に言えば彼氏居るのと聞かれて、
さすがに千寿郎くんを私の彼氏って言うのは千寿郎くんに対して失礼だと思ったから、同居人だよと説明した。




「お気をつけて、Aさん」
「A、男には気を付けるんだぞ！」
「はい！ありがとうございます！」



なんか二人が家族みたいで、心が温かくなった。






これで今日も一日頑張れる！！



グッと拳を固め、私は走り出した。






＊＊＊





「おーい、浅妻」


今日も仕事を終わらせて急いで帰ろうとすれば人気のない場所で同僚に引き止められた。


「ん？何？」
「今日久しぶりに飲みに行こうぜー！」
「ごめん、今日も早く帰らないと……」
「同居人？」



固まると、同僚の松尾は不満気な顔をしていた。




「同居人って、男？」
「松尾には関係ないでしょ」
「関係ある」
「え？」



なんかこの雰囲気、まずくないか！！
何とか理由つけて逃げないと。



「あぁ！！電車に遅れちゃ、」
「好きなんだ」
「じょ、」
「冗談に見えるか？」




真剣な表情の松尾に私はどうすればいいのか分からなくなってしまった。

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