炎の狂った愛を受け止めて。弐

ごじゅうろく◇ ページ6

「ねっ、杏寿郎さんっ」
「なんだ？」



Aはヒヨコの寝間着。
可愛い。


そっとカメラを構えようとすれば、怒られた。
「それなら、一緒に撮りましょうよ！」と言われ、俺は渋々彼女の隣に座る。



「じゃあ、お願いします！杏寿郎さんっ！はい、ちー……」


カシャッとシャッター音が響く。



「杏寿郎さん！！？」
「Aの驚いた顔だな」



写真に写っているのはAに口付けている俺と驚いて固まっているA。



「これはロック画面にしておこう」
「っ！！いや、何言ってるんですか！！ちょ、設定しないでください！！」
「いや、ダメだ」
「ダメです！！」


Aが俺に寄りかかり、携帯を奪おうとする。


「こら、ダメだ」
「ロック画面は恥ずかしいです！！」




ドサッと床に押し倒される。




「A」
「ダメです」
「なら君の蕩けた顔にしようか」
「もっっとダメです！！」




Aは俺の上に乗って、まだ携帯を奪おうとする。



「随分と今日は積極的だな、A。嫌いじゃない！！」
「……そんな事言って怯ませるつもりですね？効きませんよ！コショコショしますよ！！」
「む？」


「ほら！脇腹くすぐったいでしょう？こしょこしょー！…え？杏寿郎さん？え？こしょこしょ……？」
「……うむ、愛い！」



必死そうに俺をくすぐろうとしているAが愛い。

堪らなく可愛い。
閉じ込めてしまいたいぐらいだ。




「A、俺には効かない。だが、君の頑張るその姿に興奮はする」
「……」


Aがそっと俺から離れようとする。




「逃がさないぞ、A。君を楽しませる為に、沢山用意をしてきたんだ」
「楽しませる…？」


「あぁ、夜は長い。沢山楽しもう、A」




彼女を抱き上げて、大きな荷物を引きずる。



「え？え？杏寿郎さん？え？」







＊＊＊





「くっ……負けました！！杏寿郎さんオセロ強くないですか！？」
「そうだろうか？さ、次は花札をしよう！」




ベッドの上でボードゲームやら色々している。
旅行の夜はこうして二人でゲームをするのも悪くない。


Aはとても楽しそうだ。
俺に勝つために考え込むAも愛らしいし、少し俺より有利になってはしゃぐAも愛らしいし、負けて悔しそうに俺をみる彼女も可愛い。



「私、こう見えて花札は得意なんですよ？引きが良いので！！」
「ははっ、なら見せてもらおうか」



花札も俺が勝ち、Aが俺に突進してきたのは堪らなく可愛かった。

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