炎の狂った愛を受け止めて。弐

ごじゅうさん ページ3

「A、次はどこに行きたい？縁結びの神社に行けて俺はもう幸せだ！」



縁結びの神社に行けて大変ご満悦な杏寿郎さん。
縁結びって、もう私達は夫婦なのに。

よく、結ばれているのに行ったら逆に良くないと聞いた事があるような気もしたが、夫婦で行くのもいいと聞いた事もある。結局はよく分からないけど…。


とにかくこれだけは言える。

杏寿郎さんが幸せならそれでいい。



杏寿郎さんが泣かないで、幸せで笑ってくれさえすればもうどうでもいいのだ。



「杏寿郎さんは私に振り回されてばかりですし…少しぐらい行きたい所とか……」
「む…、なら……このホテルに行きたいのだが」
「……変態です、杏寿郎さん」
「よもや」





ここから一番近い、そーいうホテルを提示してくる杏寿郎さんは少し問題ではある。



「……でも杏寿郎さんがどうしてもって言うなら行きますよ」
「っ！？」
「行きますか？」
「……いや、いい。今回の旅行は君の為の旅行なのだから。君の行きたい所に行こう」



杏寿郎さんは私の腕を引いて歩き出す。






「杏寿郎さんっ、これ、これ、食べてみたいです！」

「杏寿郎さん、このパネルに顔をはめてみてください！」

「杏寿郎さんっ！」



杏寿郎さんの腕を引いて沢山回って、食べて、写真を撮った。
携帯には杏寿郎さんの写真が今日だけで五十枚以上あり、少し驚いた。


「A、俺ではなく、君の写真を撮らないとダメだ」


最後は杏寿郎さんにそう指摘されてしまう。



「……でも、杏寿郎さんがカッコよくて、可愛いから…」
「むぅ……そういう事は…よしてくれ…」



杏寿郎さんはヒラヒラと顔を隠すように手を振る。





耳が赤い。



「杏寿郎さん、大好きです」


ｶｼｬｯと写真を撮ると、真っ赤な顔の杏寿郎さんが写っていた。




「わぁぁ！壁紙にしていいですか！？杏寿郎さんっ！」
「ダメだ！こ、こんな写真、消しなさいっ！」
「嫌ですっ、嫌です、ホーム画面にします！あ、でも、ロック画面の方には設定しませんからっ」
「Aっ、あぁ……全く…覚えていろ」
「え？」





杏寿郎さんはフンっと顔を逸らす。
拗ねていらっしゃる。


だけどしっかり私の腕と自分の腕を絡めて離さない。
可愛いなぁ。



「杏寿郎さんっ、こっち向いてください」
「君が意地悪だから嫌だな」
「好きです」


そう言うと眉を下げた杏寿郎さんが振り向く。



「君は本当にズルい…」


ポツリと杏寿郎さんが呟いた。

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