炎の狂った愛を受け止めて。弐

ろくじゅうに◇ ページ12

連休明けの仕事。
連休に有給を使い、存分に楽しめた。

Aとの思い出の土産を渡すのは辛いが、これを渡す事により、Aが、更に俺の事を好きになってくれるのであれば、何も問題は無い。



「おぉー、煉獄、どうだった？夫婦旅行は」
「うむ！！良かった！！」


机に荷物を置き、紙袋から土産を取り出す。



「宇髄、旅行での土産だ！」
「おっ？いいのか？」
「うむ！妻がこれを渡せば更に俺の事を好きになってくれるらしい！！」
「惚気はいい」




他の教師にも土産を配っていく。
A、これで、また俺を好きになってくれただろうか。


携帯の画面ではAはテレビを見ながら運動をしている。
A曰く『旅行太り』をしてしまったらしい。
そんな事気にする必要は無いし、俺はどんな姿でも君が一番だ、と伝えれば、少し照れられて、怒られてしまった。

Aの照れている姿が愛らしかった。もちろん、怒っている姿もしっかりと俺を見てくれているから、嬉しさでいっぱいだった。



最近の悩みと言えば、Aが怒っている時に笑ってしまうということだ。
Aが俺の事を沢山考えてくれていると思うと嬉しくて笑ってしまう。


しかし、Aの目からしたら、誠実にAと向き合っていないと受け取られかねない。


難しい。



「あぁ、A、頑張れ、頑張れ」



携帯画面に向かって応援する。
声は聞こえてはないが、応援したくてしかたがない。




「煉獄ー、何、呟いてんだァ……」



背後に不死川が居て、急いで画面を閉じた。



「妻が愛らし過ぎてな！！」
「……きざむぞ」
「む！！」



不死川にも分かる日が来るかも知らないぞ。
そういう人と出逢えば。


俺は、Aと出逢って、変わった。


「はっはっはっ！」
「煉獄、うるせぇ！！」
「すまない！」








＊＊＊




「A、ただいま戻った！」


できるだけ声を抑える。
鼻歌交じりにリビングに行き荷物を置いて、手を洗って、そっと彼女に近づく。



「ただいま、A」


一日中、運動をして熱くなったのか、キャミソール姿で床で寝てしまっているA。




「はは、A。汗びっしょりだな」



このままでは、風邪を引いてしまう。
風呂を入れなければ。


急いで風呂をセットして、風呂を入れている間、彼女を抱き寄せて、テレビを付けてニュースを見る。


本当はこのまま食ってしまいたいところだが、そんなことをすれば怒られるだろうな。

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