陸 ページ6
転生する前の記憶を取り戻すと、今まで慣れしたんできたこの世界が堪らなく愛おしくて特別なものに変わる。
川も山も空も、歩いている人々も。
鳥も、家も、なにもかも。
描き足りない !
この帳面だけじゃ足りない。
走って、走って、どこに向かっているか分からないけど、とにかく走って周りを見渡す。
日が傾いて、空が橙色に変わる。
雲は金色に輝き、少し眩しい。
父さんに怒られちゃうけど、まだ描き足らない！！もっと、もっと、たくさん！！
さらに日が傾き、人が家に帰っていき、
子どもたちの笑い声も遠くなっていく。
あっという間に紺色が段々と空に混じっていく。
「ふふん、ふふーん」
少し離れた山の麓で、地蔵の隣に腰を下ろし、町並みをスケッチしていく。
山の麓の近くはまだ田んぼが多いが、奥に連れてだんだん家が連なっていく。
さらに奥には市場があって＿＿＿＿
どれぐらいの時間が流れたのだろう。
スケッチできないぐらい、暗くなって、ハッと顔を上げる。
「まずい！！つい、時間を忘れてしまった！！父さんに怒られる！！」
「うむ！確かにそうだな！！」
大きな声が聞こえて、少し驚くが、すぐに誰かは分かる。
ゆっくり後ろを振り向けば、暗くても白と炎の羽織が目立つ。
山の麓の石階段に座っていたのだろうか？
「煉獄さん…？どうしてここに？」
「こんな所にこんな時間に女性一人…危険だとは思わないのか？」
顔は暗くてよく分からない。
だけど、一つ言えるのは、怒っている。
「この間、鬼に襲われかけた身だと言うのに。藤宮さん、君は危機感が全くない！！」
同い年の煉獄さんに怒られている私。
こんなすごい方に怒ってもらえるのはとても凄い。
「以後気をつけます…」
「うむ、家まで送ろう！！」
「あ、いえ、それは…」
言いかけると、「俺が先程言った事を忘れたのか？」と圧を掛けられ、しぶしぶ口を閉じる。
二人で暗い道を歩いていると、
ふと気付いた。
「煉獄さん」
「む？」
「いつ私を見つけたんですか？」
「うむ、一時間ほど前だ！！」
…え？一時間も前！！？
「声は掛けましたか？」
「一度声は掛けたが、君はあまりにも集中していたから」
「…すみません…」
頭を下げれば、笑われた。
「いや、君はそれほど真剣に取り組んでいたという事だろう？」
「！」
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古猫丸(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍様！いつもコメントありがとうございます(*´ω｀*)そうなんですよね！主人公ちゃんめちゃくちゃ高難度の技をやってのけているんですよ！！軽く大まかな事を描いて、後付けでじっくり描いていたのではないかな〜と思います！(*´艸｀*) (2021年5月3日 6時) (
レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 完結おめでとうございます！よく考えたら主人公ちゃん静物じゃなくて動物スケッチしてるんですよね…すご。 (2021年5月3日 0時) (レス) id: e14d5de1d5 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - 華さん» 今回は珍しく兄貴切り抜け話だったので、レア中のレアです！この話も一番最初に話を練ったときは兄貴はそのまま見届けられる感じで、来世の話も無しの一番切なかったのですが、やっぱり幸せエンドにしました(*´-`*)次回作、頑張りますっ〜！(*´▽｀)ﾉ (2021年5月2日 23時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - 彩乃（yumeko）さん» 彩乃（yumeko）さん、コメントありがとうございます！(*´∇｀)旅館のシーンは他の話と比べてちょっと甘めですよね！(*´艸｀*)ふふふ。こちらこそ最後まで目を通していただき、ありがとうございました！m(_ _)m (2021年5月2日 23時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 丸ちゃん、完結おめでとうございます(*´ `)最後、煉獄さんが無限列車を切り抜けて良かったと思いました！二人が幸せな結末で良かったです。次のお話も楽しみにしていますね！ (2021年5月2日 22時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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