拾弐 ページ12
「藤宮さん、ここから降りてきてはダメだからな？」
木の上に優しく降ろされる。
私は何度も頷く。
「……分かりました！」
何度も煉獄さんと目を合わせて、確認をすると、煉獄さんはあっという間に降りて、刀を抜いた。
暗くても、今日は月が明るいから、よく見える。
よし、ここからが本番だ。
煉獄さんは柱であり、とっても速い。
その為、丁寧に描いている暇はない。
炎の何の型の何を使うかを正確に見極めて、描くんだ。
大丈夫、私は呼吸は全て覚えている。
煉獄さん、私は貴方を描きあげてみせる。
煉獄さんの周りに鬼が集まって来た。
すると、その瞬間、彼の刀の周りを炎が覆ったように見えた。
ゆらゆらと髪は揺れ、炎は彼を照らした。
そして、あっという間の出来事だった。
鬼の頸が空を舞った。
刀は下から斬り上げていた。
これは、炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天、だろうか。
その後も次々の煉獄さんは顔色一つ変えずに斬っていく。
とても速かった、速すぎて描く暇がない。
これが柱。
努力の結晶そのものだと、感じずにはいられなかった。
ただ速すぎて描けなかったわけではない。
圧倒された。
声すら出ずに、鉛筆を動かそうとは思わなかった。
ただ目だけが彼を必死に追っていた。
描くだけではない。目に焼き付けなければ。
本能的に感じたソレは、私の神経を全て目に注いだ。
美しかった、彼は＿＿＿＿＿＿煉獄さんはあまりにも美しかったのだ。
＊＊＊
「藤宮さん、ほら、降りておいで！」
腕を広げて木の下で待っている煉獄さん。
明らかに意地悪をしている。
「意地悪しないでくださいっ！！」
「意地悪とは？はて……なんの事だろうか！！」
鬼との戦闘を終えた煉獄さんは私の元に来て、抱き上げて、木の下まで連れて行ってくれると思っていたが。私が、またよろしくお願いいたします、などと先に言ってしまったがため、煉獄さんは私を抱き上げずに木の下に行き、腕を広げて待っている。
高い所に置かれてしまった為、結構怖い。
「藤宮さん、次は来ないなら、助けよう！！」
「今回は描けなかったんです！！ですから、次描くので、また行きたいです！」
「覚悟があるのなら、来れるはずだが？」
そう言われてしまい、私は腹を括るしかないと決意した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
古猫丸(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍様！いつもコメントありがとうございます(*´ω｀*)そうなんですよね！主人公ちゃんめちゃくちゃ高難度の技をやってのけているんですよ！！軽く大まかな事を描いて、後付けでじっくり描いていたのではないかな〜と思います！(*´艸｀*) (2021年5月3日 6時) (
レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 完結おめでとうございます！よく考えたら主人公ちゃん静物じゃなくて動物スケッチしてるんですよね…すご。 (2021年5月3日 0時) (レス) id: e14d5de1d5 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - 華さん» 今回は珍しく兄貴切り抜け話だったので、レア中のレアです！この話も一番最初に話を練ったときは兄貴はそのまま見届けられる感じで、来世の話も無しの一番切なかったのですが、やっぱり幸せエンドにしました(*´-`*)次回作、頑張りますっ〜！(*´▽｀)ﾉ (2021年5月2日 23時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - 彩乃（yumeko）さん» 彩乃（yumeko）さん、コメントありがとうございます！(*´∇｀)旅館のシーンは他の話と比べてちょっと甘めですよね！(*´艸｀*)ふふふ。こちらこそ最後まで目を通していただき、ありがとうございました！m(_ _)m (2021年5月2日 23時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 丸ちゃん、完結おめでとうございます(*´ `)最後、煉獄さんが無限列車を切り抜けて良かったと思いました！二人が幸せな結末で良かったです。次のお話も楽しみにしていますね！ (2021年5月2日 22時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
