壱 ページ1
「こら、A、また関係ないもの描きよって!」
コツンっと頭を軽く小突かれる。
「いてっ……だってね、父さん、この虫の細かいパーツ…ついつい描きたい気持ちがうまれちゃって」
「ここに書いていいのは患者の症状や検診記録のみだ」
藤宮A、二十歳。
小さな町医者の一人娘。他の女性と違ってお淑やか…とは言えず好きな事に没頭すると周りが見えなくなる性格のため、破談回数は数しれず。
縁談を持ちかけられる事は多かったが、一度会うと、その後私を誘うことはなかった。
「娘がこんなに縁談断られるなんて驚きだね、父さん」
夜、周りは暗く、街灯を頼りに、二人で一緒に並んで帰る。
「A…喜んでいるだろう」
「うーん?どうかなぁ?」
「まったく……」
笑う私をジトッとした目で見たあと、ため息をついた父さん。
「まぁまぁ、心配しないで?父さん。運命の相手は見つかるから」
「嘘つけ、そう言って、もう何年経った」
「二年」
「はぁ……」
一方的に私が笑いながら歩いていると、ヌッと黒い影が私達の前に現れた。
「っ!!?」
父さんと私は目を見開き、固まった。
目の前に現れた者は一見人間に見える。
しかし、
手を見るとても鋭い爪、口は八重歯が目立ち、目は捕食者の瞳。
体のすべてが危険だと訴えている。
「父さん、、私が囮になるからそのうちに逃げて」
「何を言っている……!囮になるのはこの私のほうだろう」
私は鉛筆と帳面を取り出した。
ちょっと珍しいから、特徴だけ写生しておきたいところ。
「A、お前、なに描いている!!」
「初めて見るから、特徴だけでも写生しておこうかなって」
「はぁ、娘が本当に…恐ろしい」
そうこうしているうちに、人間の突然変異(?)がものすごい勢いでこちらに向かってきた。
あ、これはまずい。
その瞬間______
ブワッと炎が上がったような気がした。
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古猫丸(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍様!いつもコメントありがとうございます(*´ω`*)そうなんですよね!主人公ちゃんめちゃくちゃ高難度の技をやってのけているんですよ!!軽く大まかな事を描いて、後付けでじっくり描いていたのではないかな〜と思います!(*´艸`*) (2021年5月3日 6時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 完結おめでとうございます!よく考えたら主人公ちゃん静物じゃなくて動物スケッチしてるんですよね…すご。 (2021年5月3日 0時) (レス) id: e14d5de1d5 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - 華さん» 今回は珍しく兄貴切り抜け話だったので、レア中のレアです!この話も一番最初に話を練ったときは兄貴はそのまま見届けられる感じで、来世の話も無しの一番切なかったのですが、やっぱり幸せエンドにしました(*´-`*)次回作、頑張りますっ〜!(*´▽`)ノ (2021年5月2日 23時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - 彩乃(yumeko)さん» 彩乃(yumeko)さん、コメントありがとうございます!(*´∇`)旅館のシーンは他の話と比べてちょっと甘めですよね!(*´艸`*)ふふふ。こちらこそ最後まで目を通していただき、ありがとうございました!m(_ _)m (2021年5月2日 23時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 丸ちゃん、完結おめでとうございます(*´ `)最後、煉獄さんが無限列車を切り抜けて良かったと思いました!二人が幸せな結末で良かったです。次のお話も楽しみにしていますね! (2021年5月2日 22時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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