感情がない少女 (ページ49)

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『っ…!!』

Aは避けたが完全には避けきれず血を吐いて倒れた

恵｢栗花落!!｣

叫ぶ声を聞いてか宿儺は伏黒に視線を向けた

宿｢オマエの式神、影を媒体にしているのか｣

恵｢ならなんだ
(バレた所で問題はない)｣

Aは傷を押さえ宿儺の行動を黙って見ていた

宿｢フム｣

(呪符を使う
ありきたりな術式ではない応用も利く)

宿｢分からんな
オマエあの時、何故逃げた｣

恵｢?｣

宿｢どの道その程度では心臓は治さんぞ
つまらんことに命を懸けたな｣

『死のうが生きようが…私は言われたとおり切るだけ』

Aは傷つきながら手を刀に持って攻撃した

恵｢待て栗花落!!｣

不平等な現実のみが平等に与えられている

(誰かを呪う暇があったら大切な人のことを考えていたいの)

疑う余地のない善人だった
誰よりも幸せになるべき人だった
それでも津美紀は呪われた

俺の性別も知らず"恵"なんて名前を付けた父親は今も何処かでのうのうと生きている
因果応報は全自動ではない
悪人は法の下で初めて裁かれる

呪術師はそんな"報い"の歯車の1つだ

少しでも多くの善人が平等を享受できるように
俺は不平等に人を助ける

ズズ…
宿｢いいいいぞ
命を燃やすのはこれからだったわけだ
見せてみろ!!伏黒恵!!｣

恵｢布瑠部由良由良(ふるべゆらゆら)
八握(はっかの)｣

『｢!?｣』

恵｢…俺はオマエを助けた理由に論理的な思考を持ち合わせていない｣

危険だとしてもオマエの様な人間が死ぬのは見たくなかった

恵｢それなりに迷いはしたが結局は我が儘な感情論｣

でもそれでいいんだ

恵｢俺は正義の味方(ヒーロー)じゃない
呪術師なんだ
だから、オマエを助けたことを一度だって後悔したことはない｣

悠｢…そっか｣

紋様が完全に消え元の彼に戻った

悠｢伏黒は頭がいいからな
いろいろ考えてんだろ
オマエの真実は正しいと思う
でも俺が間違ってるとも思わん｣

器は血を吐きながらフラついた

悠｢あー悪い、そろそろだわ
栗花落、怪我させてゴメンな
伏黒も釘崎も栗花落と五条先生…は心配いらねぇか
長生きしろよ｣

そう言い残して彼は死んだ

恵｢……｣

Aは落ち込む彼を無視して電話をした

『えぇ…宿儺は下がったから来て大丈夫…
でも器の彼は死んだ
先生には?そう…わかっ』はぁはぁ…

Aは電話先で補助監が叫ぶ声を後目に倒れた

恵｢栗花落!!しっかりしろ!!｣
『先生…』

先生…記憶…一緒に探すって約束したのに守れなくてゴメンなさい…