拉致 ページ11
夏「すまない…私のミスだ…
敵側にとっての黒井さんの価値を見誤っていた」
黒(万が一ということがあります!!
夏油様の方が速い
先にお嬢様の所へ!!)
小さく頭を下げる夏油の顔色は優れなかった
悟「そうか??
ミスって程のミスでもねーだろ」
その言葉に、Aはギュッと手を握りしめた
悟「相手は次、人質交換的な出方でくるだろ
天内と黒井さんのトレードとか、天内を殺さないと黒井さんを殺すとか」
『……っ』
Aは、唇を噛み締めた
(わかってる…)
悟「でも交渉の主導権は天内のいるコッチ
取引の場さえ設けられれば、後は俺達でどうにでもなる
天内はこのまま高専に連れていく
硝子あたりに影武者やらせりゃいいだろ」
『……;』
(わかってる…わかってる…けど…)
『まっ…待て!!
取り引きには妾もいくぞ!!
まだオマエらは信用できん!!』
Aは、睨みつけてくる五条の目を見つめた
鋭い眼差し、それから逸らしたい気持ちをギュッと押さえつけて
悟「あぁ!?
このガキこの期に及んでまだー」
『わかってる』
そうわかってる、これはワガママだ
自身の身が貴重なことなんてずっと知ってる
でも、黒井は大事な人だ
Aをただ一人、人間でいさせてくれ普通の女の子にさせてくれ家族でいてくれた
『助けられたとしても!!
同化までに黒井が帰ってこなかったら?
まだ、お別れも言ってないのに…!?
最期に黒井に会いたい…
お別れを言いたいだけなの…』
うるりと涙で潤む視界で目に力をいれた
泣いちゃダメだ
Aにその資格はない
そしてAはゆっくりと頭を下げた
『お、願いします
黒井を、一緒に助けに行かせてください』
はあ…と頭上で溜息が聞こえた
悟「その内、拉致犯から連絡がくる
もし、アッチの頭が予想より回って天内を連れて行くことで黒井さんの生存率が下がるようなら、やっぱオマエは置いていく」
"やっぱ?"
Aは、バッと頭を上げた
『分かったそれでいい』
悟「逆に言えば途中でビビって帰りたくなってもシカトするからな覚悟しとけ」
『ああ!!』
鋭い視線のままこちらを見下ろす男は重い空気を纏っていた
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作者名:卯月 | 作成日時:2021年7月16日 4時