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綺麗な人は目を丸くしたあと、吹き出して、豪快に笑いだした。周囲の人もその様子を見てからなのか、雰囲気が柔らかくなった。




「ははっ!嬢ちゃん、本当にド派手な挨拶だな!!俺はそういうの好きだぜ!!気に入った!!」
「宇髄さん、藤田さんも怪我しているんですから、早く解放してあげてくださいね」




いつの間にか、宇髄さんの隣に小柄な綺麗な女性が居た。
あまりにも綺麗な人なのでついつい魅入ってしまい、目が合って、恥ずかしくて目を逸らしてしまった。
顔が少し熱い。




「ふふっ、あらあら、照れてしまって……おはようございます、藤田さん。私は胡蝶と言います。よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします…!すみません、あまりにも綺麗な方だったのでつい凝視してしまいました」




頭を下げながら挨拶をする。
この方が胡蝶さん……!
胡蝶さんも真っ黒なスーツを着ていた。



「いえいえ、私の屋敷に向かいましょう。煉獄さんも先に向かわれています」
「胡蝶に任せたら安心だな。じゃあ、嬢ちゃん、またな」



頭を押されるように撫でられるので、私は何度も頷いた。



「は、はい」



私は胡蝶さんの後ろについて歩き、胡蝶さんの屋敷に向かうことになった。





***



車内で、胡蝶さんは目を細め、私を見ていた。何となく観察されているような気がする。
ちらりと胡蝶さんを見ると、胡蝶さんはこちらを見てニコリと微笑んだ。


「藤田さん、鬼と接触したようですが、何かされたことはありませんか?」
「あ…指先を噛まれて、恐らく血を吸われました」


指先を見せると、胡蝶さんは私の手を両手で優しく包み込んだ。


「他には……噛まれただけではないですよね。こんなにボロボロになって……怖かったでしょう」


はっ、と顔を上げると、胡蝶さんは真剣な表情だった。


「瀧内さんがボロボロにされて、逃げれば髪を引っ張られて、脅されては抱きしめられて、胸元に顔を寄せられたり……でも、それ以上はされませんでした。でも、一番、一番苦しかったのは、煉獄さんの苦しんでいる様子を何も出来ずに見ているのが辛かったです……私は煉獄さんを助ける選択をしたはずなのに、私が結局助けられて──」




拳を握り、私は涙を堪えようとするが、悔しくて涙が溢れてしまった。




「Aさん……」




胡蝶さんは屋敷に着くまで静かに私の背中を撫でてくれた。

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(プロフ) - エスちゃんさん» ありがとうございます(*´-`*) (1月30日 21時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
エスちゃん - 私はとくにこれが好きなので待ってます❗️ (1月30日 12時) (レス) id: 2c7c01870e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - エスちゃんさん» エスちゃん 様っ!これはこれは嬉しいコメントをありがとうございます(*´艸`)励みになります!!この丸、腕をぶんぶん振り回して頑張りますね!!ありがとうございます! (1月30日 11時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
エスちゃん - 続きが見たいです‼️楽しみです❗️ (1月30日 8時) (レス) id: c1a6291b46 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こぐま☆にゃんこさん» わぁぁ!こぐま☆にゃんこさま、お久しぶりです!続編初のコメント、とても嬉しいです(*/-\*)こちらこそありがとうございますっ!! (1月21日 21時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年1月21日 0時

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