伍拾参 ページ17
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そう言った瞬間、空気がサッと変わった。あ、これ間違えたなと頭のどこかで考えるが時すでに遅し。彼女は爪が突き刺さるほどにきつく拳を握って、【特異】を発動させようとしていた。
「…うるさい、うるさい!この醜女!泥棒猫!極悪人!」
彼女が宙に向かって広げた手のひらから小さな火の塊が生まれる。恐らくそれが彼女の【特異】なのだろう。
「貴女なんて、灰になるのがお似合いよ!」
そう言って彼女が腕を振りかぶった瞬間、わたしは攻撃を受けることを察して、きつく目を閉じた。
「─────なァ、お前ら何やってんの?」
かつん、と靴音が、やけに冷たく響いた。
袋小路の入口に手を組んで立っていたうらたさんは殺意のこもった視線のみで取り巻きの2人を圧倒し、つかつかとわたしに近づいてくる。
「……あ」
そこで気がついた。いつもセンター分けされている彼の髪の間から覗く──明らかに人智の及ばない者であることを主張する、1本の白いツノ。
それは暗い袋小路にありながらも光を反射して輝き、まるで彼自身のように真っ直ぐで、非人間的な美しさだった。
月鬼。まさに彼の【特異】。
わたしの元へと歩み寄ってくれるうらたさんの前に立ちはだかったのは、姫雫さんだった。
「わ、渉さんッ!」
「………お前、まだ俺に付き纏ってたの?」
うげ、と眉を寄せる彼。しかし彼女は付き纏っている呼ばわりされたのが不快そうに唇を噛む。
「付き纏ってなんて……!私は、ただ」
「何度も言ってんだろ。俺はお前みたいな女は御免なの、俺が愛してるのはAだから」
ハッキリと正面から言われてなおも何か言いたげにする彼女を眼圧で黙らせたうらたさんはにっこりと微笑んで、わたしの手を取って「行こっか」と優しく声をかけてくれる。
彼は鬼であるはずなのに、その手は温かかった。
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影月希望(プロフ) - 長男さん» 作品にメールアドレスを登録していた場合。アカウントのパスワードが発行されると思うのでそれを打ち込めば再ログインできると思います。あと、とても素敵な作品です。続きを楽しみにお待ちしております。 (2023年3月7日 13時) (レス) @page27 id: 2a5085a77b (このIDを非表示/違反報告)
長男 - ちょこさん» 戻りたいんですがいかんせん機種変したせいでログインできなくなってしまって…т т (2023年3月3日 19時) (レス) id: f346af2ee0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2022年5月10日 12時) (レス) @page27 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
長男(プロフ) - そうです無事高校生になりました村人Aです…まじで申し訳ないです… (2022年4月25日 23時) (レス) id: f346af2ee0 (このIDを非表示/違反報告)
雨の夜 - 長男さん» えっ!!?村人Aさんなんですか!? (2022年2月23日 17時) (レス) @page27 id: 1e59db50fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:村人A | 作成日時:2021年1月13日 21時