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▼ hpmi :【一時停止違反】碧棺左馬刻 ページ9

前作の【一方通行】主。

****

すっかり夜も更けた頃。

…珍しく左馬刻がレイラを置いて外へと出掛けた。レイラはそれを不服そうに見送ったが、左馬刻が言うならと仕方がなく一人待つことを決めたのだ。不貞腐れて眠りについて、どんどんと眠りが深くなっていく…

そんな時。

がちゃり、部屋のドアが開いた。
左馬刻が家を出て、2時間ほどが経とうとしていた。深夜とも夜明け前とも言えない、そんな時間。
レイラはスヤスヤと眠っている。そんなレイラに近付いてベッドの縁に腰掛ける一人の人物…

「レイラ」

碧棺左馬刻その人だ。レイラの近くに腰掛け、前髪を払ってその寝顔を見つめる。

『…ん、』
「…」
『…、さま、?』
「おう」
『、きがえ、』
「いい」

寝惚けながらも、左馬刻の帰宅にのそりと身体を起こしてベッドから出ようとするのを、左馬刻は一言で制止した。
レイラはぼんやりと、左馬刻の雰囲気がいつもと違うことを悟る。

『(これは、…誰かやったのかな…)さま、おふろ、入ろ』
「は?なんで」
『さいきん、一緒に入ってくれない…』
「今じゃなくても、」
『今がいい』
「…ッチ、わーったよ」
『ん、ありがと左馬、先、入ってて。着替えとか、よーいする』
「ん」

左馬刻を見送って、シャワールームのドアが開く音を聞いてからゆったりとした動きでベッドから降りる。
そして思う。だから左馬刻は自分を連れていかなかったのだと。左馬刻はいつもそうだ。汚れ仕事にはレイラを巻き込みたがらない。今日も何となくそうなのだろうと思っていたが、止める術も知らなければ止める義理もない。…正直、レイラは少し自信をなくしていた。

自分の着替えと、左馬刻の着替え。両方を持って、シャワーの音がしだしたシャワールームへと足を向ける。ひんやり冷たいフローリングがやけに湿って感じて、下を見れば赤い雫。すぐに血だと悟る。
脱衣場に入り、左馬刻の着替えを見れば少しだが返り血が着いている。しかし垂れ落ちる程ではない。ベッドルームでは見えなかったが、どこか怪我をしているのか。

レイラの思考は冷えたまま、悪い方へ悪い方へと回る。着替えをそっといつもの場所において、自分も服を脱いでシャワールームへと入る。
左馬刻のたくましい背中が何故か小さく見えて、思わずその背に抱き着く。

『ごめんね、いつも、役に立てない』

****

続く

▼ CCS :【言い訳】木之本桃矢→←▼ DC :【98万円】赤井秀一



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作者名:たまの | 作成日時:2018年12月15日 19時

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