▼ hpmi :【一筋の光】独歩、一二三 ページ1
まてんろおめでとう!最推し〜
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まだ夢のようだと思った。
ディビジョンバトルで優勝したと、そう決まった瞬間俺達は何故か酷く安堵したのを覚えている。
「独歩、帰ろっか」
「…そうだな」
興も醒めてきた頃、泥酔して人が変わってしまった先生を一二三が担ぎあげてタクシーに押し込んだ。それも落ち着いた頃、俺達は帰る為にとぼとぼとシンジュクの街を歩く。
未だに信じられないのだ。本当に現実だろうかと、心の中で何度も何度も考えた。
一二三と、何言か言葉を交わしたがそれさえも記憶に無かった。家の鍵を開け、中に入れば出る前と変わらない我が家があった。今まで夢心地だったからか、それがやけに落ち着くような心許ないような気持ちで。
「たっだいま〜!」
勢いよく靴とスーツを脱いでリビングへ駆ける一二三。一二三の散らかした靴を直して、スーツを拾いながらリビングへと向かうと一二三と、もう一人の同居人…レイラがいた。
『おかえりなさい』
いつもの笑顔、トーンでそういうレイラがとてつもなく愛おしくて、俺は一二三の目も憚らずに持っていたスーツもその場に落としてレイラの体をすっぽりと抱き締めた。
「…ただいま」
『うん、お疲れ様、おめでとう』
「夢じゃ…ないんだよな」
『そうだよ、…本当におめでとう』
「え?俺っちには?」
「お前は無くていいだろう」
『こら独歩。…ひーちゃんには後でね』
いつの間にか後ろに回されていたか細く白い手で頭を小突かれるが、それさえも今では愛おしくて仕方がない。
しばらくそうして、とうとう一二三に引き剥がされて俺は胸元に嫌な冷たさを感じるハメとなる。
一二三のそれも終わった頃、レイラが思い出したように手を叩いてこちらを向いた。
『二人とも、明日はお休みでしょ?』
「うん!」
「どうかしたのか?」
『たまには三人でどっか行きたいなあ、って…ダメかな?』
そう言って困ったように笑って、頬を朱に染めるから、断るに断れない。…断るつりもないのだが。
「行こーぜ行こーぜ!な!独歩!」
「ああ」
『ほんと!?良かった!…断られたらどうしよって思って』
そう笑うレイラの体が俺の目の前で宙に浮いた。…一二三だ。
「今日は三人で寝よ?お祝いしてよ」
『二人がいいなら』
「その、俺は、嬉しい…」
『ん、じゃあ』
そうしてレイラの部屋で男三人川の字で眠った。
現実か夢かなんて、今はどうでもいいと、レイラの体温を感じながら眠りについた。
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作者名:たまの | 作成日時:2018年12月15日 19時