検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:64,885 hit

覚悟 ページ4

「こいつが俺の求婚を断ったんだよ!!なあ花魁、位が上のお前なら分かるよな?

商品は客に逆らっちゃいけねぇってよぉ!!」



「……えぇ、お客さんの言う通りでござりんす」



興奮気味に投げつけられた言葉に

お決まりの言葉を、淡々と告げる。



「だろ?流石花魁だ、よく分かってやがる。どっかの女とは違ってなぁ!!」



「いやっ…!!」



客は遊女の髪を荒々しく引っ張る。


遊女は痛みに顔を歪め、歯を食いしばっている。



「相手ならわちきがいたしんす。でありんすから…その子から手を―――」



「誰に指図してやがる!!!」



「…っ、」



ゴンッ



鈍い音共に、後頭部に痛みを感じた。



わちきの胸ぐらを荒々しく掴み


怒りでさっきより顔が歪む客。



「落ち着いておくんなし」



「落ち着けるかぁ!!どいつもこいつも商品のくせに客に逆らいやがって!!!」



火に油を注ぐかのように、客の怒りの迫力は増していくばかり。



「誠に申し訳ござりんせん…」


「ふざけんな!!謝って済むならこの世に町奉行なんて要らねぇんだよ!!
とっとと金返せ!!!」



雷のような怒号がわちきの上に降りかかる。



正直、恐怖で体が震える。



喉に息が詰まり、声も上手く出せない。



だが男の後ろに見える遊女達。

わちき以上に顔を青白くさせ、震えている。
中にはまだ幼い禿もいる。



この子らはわちきが守らねばならぬ。



「……承知しなんした。お金は全てお返ししなんす。その代わり、


二度とこの遊郭に足を踏み入れないでおくんなし」



殴られる事を覚悟し、そう言った。



「は、はぁ!?てめぇ本気でふざけんな!!!

商品の分際で何、偉そうな事を…!!!」



男がブンッと腕を振り上げた。


わちきは殴られる事を確信し、静かに目を瞑った。



「A花魁!!」



妃代の悲鳴に近い声が聞こえ

瞼に力を込めた。





―――その時。




「さっから聞いてればズラズラと地味な暴言吐きやがって、胸糞悪いぜ」



鼓膜を揺らした心地いい低い声。



鼻をくすぐる甘い匂い。



目を開ければ瞳に写った艶のある銀色の髪。



「な、なんだお前…!!!」


「地味に生き恥晒してんじゃねぇよ」


「い、だだだだっ!!」




わちきの胸ぐらを掴む手は、銀髪の男によっていとも容易く剥がされた。

銀髪の男→←ときと屋の花魁



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (90 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
145人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 続きを読める事を楽しみにしてます! (2020年11月13日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
チュロス - あーやさん» あーやさんコメントありがとうございます!感動系の物語を書けたらな、とずっと思ってたので本当に嬉しいです!!こちらこそ読んでいただきありがとうございます(泣)これからもあーやさんが泣ける様なお話書けるように頑張ります!! (2020年8月13日 3時) (レス) id: 5b28331b1d (このIDを非表示/違反報告)
あーや(プロフ) - 切ないです、、、涙腺弱いのでウルウルしながら読んでますw素敵な作品をありがとうございます!更新頑張って下さい! (2020年8月13日 2時) (レス) id: 396fc52ffc (このIDを非表示/違反報告)
チュロス - 皐月ばっふぁろーさん» 皐月ばっふぁろーさん嬉しいお言葉ありがとうございます!!超ノロマ更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 5b28331b1d (このIDを非表示/違反報告)
皐月ばっふぁろー(プロフ) - めっちゃ面白くて読み込みました!続き楽しみにしてます! (2020年7月5日 2時) (レス) id: 9e1ebe4e73 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:チュロス | 作成日時:2020年4月9日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。