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素直 ページ13

「動くな。目に入るぞ」

「や、めておくんなし…化粧をしてぬ顔など…酷くて見せられないでありんす…!」

「何地味な事言ってんだ…んな事より、顔に傷が残る方がよっぽどひでぇだろ」


宇髄殿の手が止まり、わちきの手を縛っていた手も離れた。
化粧を全て落とし終わった、という事だろう。

宇髄殿の反応が怖くて両手で顔を覆う。


「見ないで…おくんなし……」

「酷いか?派手に美人じゃねぇか」

「お世辞は…いりんせん……」

「だぁーこっち向けよ」


顎を掴まれグイッ、と上げられた。


交わる視線に泣きそうになる。




「やっぱり、美人じゃねぇか」




目を細め、満足そうに笑った。




「お前、こんなとこに黒子(ほくろ)あったんだな」

「…!」



いつもは化粧で消している口元の端の黒子をスっ、と指で撫でた。



「なんか得した気分だ」

「っ、」



ドクドクッ、心臓が煩い。


あぁ、駄目だ。
わちきはこの人の前だと…心が、体が素直になってしまう。




カーカー!!


最近頻繁に聞く烏の鳴き声。


「悪ぃ、用事思い出したから今日はこれで帰るわ」

「し、承知しなんした…」


離れる指を追いかけたくなった。


立ち上がる宇髄殿に手を伸ばす。


「み、耳飾りを…!」

「明日お前の話を聞きにまた来る。これはその時に渡してくれ」


宇髄殿はわちきの手を握り、わちきに押し返した。


「じゃあな、しっかりその頬治せよ」


その言葉と共に、私の頭を優しく撫でる。




宇髄殿は温もりだけを残し、部屋を出ていった。






「温かい…」





枯れ果てた花魁の心に




―――何かが芽生えた。

証→←痣と化粧



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(プロフ) - 続きを読める事を楽しみにしてます! (2020年11月13日 20時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
チュロス - あーやさん» あーやさんコメントありがとうございます!感動系の物語を書けたらな、とずっと思ってたので本当に嬉しいです!!こちらこそ読んでいただきありがとうございます(泣)これからもあーやさんが泣ける様なお話書けるように頑張ります!! (2020年8月13日 3時) (レス) id: 5b28331b1d (このIDを非表示/違反報告)
あーや(プロフ) - 切ないです、、、涙腺弱いのでウルウルしながら読んでますw素敵な作品をありがとうございます!更新頑張って下さい! (2020年8月13日 2時) (レス) id: 396fc52ffc (このIDを非表示/違反報告)
チュロス - 皐月ばっふぁろーさん» 皐月ばっふぁろーさん嬉しいお言葉ありがとうございます!!超ノロマ更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 5b28331b1d (このIDを非表示/違反報告)
皐月ばっふぁろー(プロフ) - めっちゃ面白くて読み込みました!続き楽しみにしてます! (2020年7月5日 2時) (レス) id: 9e1ebe4e73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チュロス | 作成日時:2020年4月9日 22時

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