その弐 会議 ページ3
わたくしの声には炎が宿っているようでして、声を発するとチリチリと炎が喉を焼くのでございます。故に喋るな、と若様には言われておりますがどうも堪え性がないわたくしは声を発してしまうのです。
「ヤァル……？」
「よしなさい！……とにかく、全消防隊一丸となり、伝道者を追うのです。
それこそが、炎の恐怖から人類を救う道となるでしょう」
伝道者、白装束、故意に焔人化させる者達の話は終わり、第八の新人の話へと移った。
「資料は見せてもらいました。森羅日下部くん。アドラバーストを持っているのですね」
「烈火星宮に、そう言われました。
アドラバーストとは何でしょうか？普通の炎と違うのですか？」
「アドラバースト、それは穢れ無き純粋な炎……第三世代にごくまれに生じます。
太陽神がこの星を創る種火となった原初の炎と言われています。
ここに来る前に見ませんでしたか？」
日下部森羅はわからずにいた。
「久遠式火力発電“天照”。
東京皇国中の全エネルギーを賄う源の炎。その炎がまさしくアドラバーストなのです」
沈黙の末、Dr.ジョバンニが声を発した。
日下部森羅を保護すべき、だと。
胡散臭い男だと桜花は目を伏せた。
「保護！？勘弁してください！消防官は人を守る存在です！
自分の身は自分で守れます！」
「第八の問題に他の隊が干渉することもないだろう。
各隊白装束の捜索と追跡に専念すべきだ」
そうプリンセス火華は言うと、第八の大隊長に耳打ちした。
「森羅隊員の安全は我々第八が責任を持って確保する」
Dr.ジョバンニは沈黙した。
「アドラバーストは神に選ばれし聖なる炎、大事にしなさい」
「はい……！」
その後各隊解散、自身の詰め所へと戻っていった。
桜花は少し見て回りたいとは思ったが、こんなとこに居たくないという思いもあった。
(……帰ろう)
「あの、第七の、えっと」
第八の大隊長、桜備は桜花に声を掛けた。
それは当然、ガサ入れについてだった。
［何か御用ですか］
筆談用の手帳にあらかじめ書いてあったページを開く。
丁寧にお互い自己紹介をしたあと、本題へと入った。
「実は第七の管轄である浅草を調査したくて、新門大隊長になんとか許可を頂けないかと」
桜花はう〜んと悩む仕草をしてから書き始めた。
第八のメンバー全員が無言で見つめる。
［多分わたくしが言っても意味はございません。ですが、方法はございます。］
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作者名：文字変換 | 作成日時：2020年9月7日 10時
