【炎炎ノ消防隊】番人に梔子 (ページ14)

今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:3,747 hit

その拾参　無能ページ14

第三世代、第二世代と能力者がいるように、能力を持たないものがおります。
　わたくしの本当の兄もそうでございました。

　ですからでしょうか。

　わたくしは第八の大隊長、桜備秋樽が負けるとも思わないのです。
　とくに頭に血が上って、話をろくに聞かない若様相手ならば。

「うちの隊員に何してくれてんだ。
　頭同士でケリ付けましょう！！」

「なんで町の奴らを焔人にしやがる」

「何を言っても聞く気ないでしょ、だったら黙ってかかって来なさいよ！！」

　盾を持ち、そのまま走り出した。

「本性出しやがったな！！くずがぁあ！！」

　火球を容赦なく打ち出す紅丸。
　それを消すことなく、盾で桜備は防いだ。

　何度もくらいながらじりじりと詰め寄っていく。

「かき消さねぇのか？」

「かき消す？そんなこと出来るわけねぇだろ……俺は無能力者だ！！」

「なんだとっ！？」

　振り下ろした盾は当たることなく、逆に蹴りをぶち込まれるが、装備で何とか防ぐ。

「怖くねぇのか炎が」

「怖いさ！！熱いし！！」

　防戦一方ではないが、紅丸相手に攻撃手段がないのは一目瞭然。
　しかし桜花にとって、負けてもらっては困るのだ。

(仕方ない)

　少しばかり紅丸の攻撃が和らぐように要所要所で、防御する準備を桜花は整えた。
　使うのは発火能力。後で説教は確定だ。

「なぜ炎の怖さを知る奴が悪戯に勘太郎を焔人にしたぁあ！！」

「だからなんかの間違いだと言ってるんですよ」

「はっきり見たんだ、間違うはずねぇ！！」

　五本の纏が桜備めがけて放たれる。
　一歩下がろうとするが、桜花が声を上げた。

「サガルナ！！」

　爆炎の中、青い炎が桜備を紅丸の炎から守った。

　踏みとどまった桜備に纏が当たる事はなかった。
　代わりに使っていた盾が使用不可となった。

「第三世代が何だっていうんだ、俺は毎日鍛えてんだよ」

　懐から消火グレネードを取り出し、紅丸の足元に投げる。
　確かにこれならお相子。
　肉弾戦に持ちこめる。

　が、相手が相手。対人戦ばかりやって来た紅丸だ。
　そう易々とは倒されてはくれない。

　それでも。
　桜備は消火グレネードを自分事吹き飛ばすつもりで使った。

「てめぇごとっ！？」

　煙幕から現れた桜備の胸倉を掴み、転がった。
　紅丸は桜備の上に乗り、装備の上から顔面を爆破した。

　が、すぐに起き上がった桜備に頭突きをくらった。