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「ただいま帰った」
「おかえりなさい!首領」
「あぁ」
立原「おかえりなさいませ!零月様!」
「皆。明日、真選組を襲撃するための準備をしとけ」
「「はい!!」」
「立原」
立原「はい!」
「酒に付き合ってくれないか」
立原「はい!私なんかで良ければ」
「ありがとうな」
_____
立原「明日ですか」
「そうだ」
立原「零月様も行かれるのはどうしてですか」
「…けじめみたいなものだな」
立原「けじめ?」
「…すこし、昔の話をしよう」
立原「はい」
「俺は、攘夷戦争に出ていた。そこで一緒に戦ったのが如月だった。そして、戦争で生き残った俺に付いた異名が黒夜叉」
立原「黒夜叉ってあの…」
「知っているのだな」
立原「有名ですから」
「そうか。続きだ。
それから、十年後に俺は真選組に入った」
立原「え」
「そこには、鬼の副長の土方十四郎がいた。俺の実の兄だ。俺の本名は、土方A。
元真選組、一番隊副隊長。
そして、夜兎の疑いがある者だ」
立原「夜兎…。あの戦闘民族ですか」
「そうだ」
立原「それでも、どうして真選組をやめたんですか」
「…人を殺すのが楽しかったからかな?」
立原「そうですか…」
「この右目を失ったのは、最後の任務の時だ。隊長を守るために負った傷だ」
立原「あの…」
「なんだ?」
立原「なぜ、私を助けてくれたんですか」
「…気まぐれだな」
立原「そうなんですか」
「あぁ。俺が彼処にたまたま入らなければお前にあってなどいない」
立原「そうだとしたら、運命ですね」
「…そうだな。それより」
立原「はい?」
「お前らは、行かなくてもいいんだぞ」
立原「何言ってるんですか!」
「真選組には、強いやつがいる。お前ら三人も死ぬかもしれない。幹部は、欠けたくないからな」
立原「…それでも、私はいいです。零月様に会えて、貴志川先輩や如月先輩にいろんなことを教えてもらいました。
だから、私は…。ここに居たい。ずっと、ずっと、零月様の為に戦うって決めたんです」
「…そうか。もう遅いから寝ろ。明日の戦いで生き残れないぞ」
立原「はい。それと、もしも明日死んだら別れの言葉を言えないので今言います。
…零月様に会えて幸せでした。
おやすみなさい」
テクテク
「…フゥー。そうか」
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作者名:箔月 | 作成日時:2021年6月1日 19時