天体少女は闇に堕ち、夜空に溶ける。【HQ/及川徹】 (ページ4)

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03 ご趣味はページ4

「は、初めまして。」

親の友人である親子が、うちに居候することになったことを、俺はずいぶん後に聞いた。

正直、まあどうでもよかった。

その居候する親子の子供が青城生だと知っても、どうだってよかった。

…が、しかし。

これは及川さん緊急事態だよ！！！

1年生が入学してから、今がちょうど2週間くらいだけど…。

この！！THE★有名人の及川さんを知らないなんて！！！

俺が何言っても、「こいつ大丈夫か…？」って目で見てくるし…。

…俺のこと、本当に知らないんだ。

俺は。

…実のところ、俺は君の名前とかクラスとかは把握している。

入学当初、俺は新入生を見て、今年のかわいい子を探していた。

「及川ー。あの子とかかわいくね？」

「あー…確かに。ぽわぽわしてる感じ。」

「だよなー！今年さー？かわいい子少ないけど、質がいいよなー…。」

「ね。えーと…かわいい子かわいい子…。」

教室の窓から眺めていると、珍しく、1人で歩ってる子がいた。

「あ…」

見つけた、と思った。今年1。

凛とした黒髪、白い肌、整った顔。

完璧というわけでは無いが、それがかえっていいと思った。

その後、少しばかり気になって、彼女のことを調べた。

1年4組、柚木A。

特に他の情報は得なかったが、まさかここで会うことになるとは…。

まあ、面倒なことを考えるのはやめよう。

今は彼女いるし。

柚木Aちゃん、という存在がいようがいまいが、俺の世界は変わらない。

「よろしくね！Aちゃん！」

とびっきりの及川スマイルをお届けしてみるが、Aちゃんは引いたような顔で、

「よ…よろしくお願いします…。及川先輩。」

と、そう告げてきた。

うーん…。

うまくやっていけるかなぁ。この子と。

ひと通りやることが済んで、なぜかAちゃんと話すことになってしまった…。

「…及川先輩って、そんなに学校で有名な人なんですか…？」

意外なことにも先に口を開いたのは彼女だった。

「え！？…うーん…。割と。」

曖昧な返事をしてしまった。

「そう、なんですね。」

…………………。

沈黙。

それが続く。

何か。何か無いだろうか。

「あ…Aちゃんって趣味とかある…？」

とっさに出た質問に「お見合いか！」と1人でつっこむ。

「え…えーと…。天体観測、です。星とか、天体が、好きで…。」

初めて、まともな回答が出た。

意外なところで、意外な情報を…入手してしまった…。