か ページ11
ついに、その時がやってきた。
汚い村人たちは自分たちの手を汚さないで、彼を亡き者にしようとするつもりらしい。
彼が動けないように十字架に縛り付けた。朝日が昇れば、彼は灰となって消えてしまう。
いくら全能の吸血鬼といえも十字架に縛られてしまえば何もできない。
このまま、彼はいなくなってしまうのだろうか。会えないまま、それでいいのか。
「そんなの…嫌だ…あんまりだよ……！！」
彼は、私が助けたために。私が愛してしまったために。
吸血鬼であることを捨て、今その命すらも捨てようとしている。
いっそのこと吸血鬼にしてくれたなら、共に永遠を生きられたというのに。
居ても立っても居られなくなった私は、見張りを掻い潜り彼の元に向かった。
「うらたさん！！」
「バカ…何できたんだよ……」
「バカは…バカなのは…どっちなの…！！」
「泣くなって…何のために俺が死を受け入れたか…分からなくなるだろ……」
痛めつけられた彼は傷だらけで、ボロボロだった。
吸血鬼は不死身だというが、吸血してない状態だと人間以上に脆いものなのか。
「ずっと…一緒にいてくれるって……そう言ってくれたのに…！」
「ごめん、ごめんな……」
「なんで、私の血は吸ってくれないの……どうして、吸血鬼にしてくれないの…！」
「…最初は、愛した女と永遠を共にするのも悪くないと…そう思った…」
「ならどうし…！」そう聞こうとした私の唇を、彼は自分の唇で塞いだ。
最期の力を振り絞ったのだろう片手の拘束を破って、その腕に私を抱きしめて。
「お前は…俺のこと愛してくれる、そう言ってくれたから。」
「え……」
「愛してる、その感情をお前からもらった。俺のモノにしたい。
だから叶うならすべてをこの手で消し去って、お前と2人きりの世界にしたい。
でもそれ以上に…お前を大事にしたい。殺せないし、お前を吸血鬼にしたくない。」
「うらたさ…」
「…お前と同じ、人間なら…よかったのになぁ……
人間だったら……キスして…愛して…ずっと一緒に入れたのに…なんで…」
「だったら…私を吸血鬼にしてよ…ずっと一緒にいてよ……」
「…それに吸血鬼同士は…互いの血を吸えない。見たくねぇ、お前が他の男の血を吸ってるの。」
「うらたさん……」
あぁ、どこまでも彼は彼だ。
わがままで、自分勝手で、独占欲が強い。
そのくせ、寂しがり屋で優しくて…私の大好きな…うらたぬきという吸血鬼だ。
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天霧 珠響(プロフ) - 号泣したあああああああ｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡素晴らしい作品でした！！！ (2020年6月30日 20時) (
レス) id: 6d7b469f38 (このIDを非表示/違反報告)
真冬（まふさん）(プロフ) - すごく泣けましたヽ(；▽；) (2019年12月30日 22時) (レス) id: 357271c7c9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 泣けました。(僕、これ読み終わった後に服が涙で濡れてたとか知らない(/ _ ; )) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 4127dbd5b5 (このIDを非表示/違反報告)
アニメヲタク(プロフ) - はじめまして！他の作品も見させて頂きました。凄く感動しました。素晴らしいストーリーですね！！ (2019年4月15日 0時) (レス) id: 0ec9b45328 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - momoheartさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて、泣き初め…というのでしょうかね？いただけてすこしでも表現したいこと伝わっていれば幸いです…！お読みいただきありがとうございました！ (2019年1月8日 1時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Elice | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Elice_id/
作成日時：2018年10月18日 1時
