【実/況/者・牛/沢】俺の初恋相手が同性しか目にない件について。

8人目も異性 ページ9

「牛沢くんはさ、どうして私を好きになってくれたの？」


窓の外でサッカー部が活発に活動しているのを眺めながら静かに聞いてくる飯田さん。
…いきなりすごいこと聞くんだな。



『飯田さんは覚えてないかもしれないけど、入学式の日さ、先輩と肩をぶつけちゃって、絡まれてたんだよね、俺。

…その時、飯田さんが「肩をぶつけたくらいでそんなに怒るなんて、大人気ない先輩ですね。」って一言だけ言って通り過ぎたんだよね。


今思えば笑っちゃうくらい馬鹿正直で、先輩に対して生意気なこと言ってんだけど…それでも、その時、救われたんだ。


…だから、まぁ、入学式の日からずっと片想いしてたんだよね。』



どうにでもなれ、と全て言ってしまった。
自分で言ったけど、片想いって口にするとかなり心にくるものがあるな。


「…あぁ、アレ、牛沢君だったんだ。覚えてるよ、だって入学式の日だもん。」



『…だ、だよね。入学式の日だもんね。』



覚えてくれていて嬉しい、という感情と共に、入学式の日だからであって、俺のことを覚えてくれていたんじゃないという現実にちょっと悔しくなった。


『…飯田さんは、花園さんが好きなの？』


目を背けていたことを、聞いてしまった。
聞く気なんてなかったのに。



「…うん、好き。大好き。」



嬉しそうに言葉にする飯田さんを見て、なんだか悲しくなった。
そりゃそうだよな、今ので失恋決定なんだから。
そりゃ…そうだよな、飯田さんは異性に興味がなくて、同性にしか目がないんだから。



わかっていたことだろ？

9人目は同性→←7人目も異性

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す