【️イナズマイレブン】大好きな君に、人生最大の我儘を。I (ページ22)

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第71話ページ22

「加恋、もっと女の子らしくいなさい。それは男の子がやるような遊びでしょう？」

「加恋ちゃんってさ、男の子と遊んでばかりいるよね。」

「加恋ちゃんって名前の割に男の子みたいな声してるんだね。」

私は昔から、男の子が着るような洋服や遊びが好きな子どもだった。
髪はロングよりショートカットが好き、服装もピンクや水色より黒色や青色が好き。
お人形遊びより、外でスポーツをして遊ぶ時間が大好き。
そのせいか友達としてできたのは男の子ばかりで、女の子の友達はほとんどできなかった。
男の子に媚びている、ぶりっ子、こんな言葉を腐るほど言われた。

私の家は厳格な家庭で、特に母は私らしくではなく、女性として生きることを何よりも大事にしていた人だった。だから私が男の子っぽい服を着たり、男の子がするような遊びをしたり、親に許可を得ず勝手に髪を短くしたり、人より多く食べたりしていると私を酷く叱った。

「加恋、女の子らしく可愛く生きなさい。」

嫌というほど母親に言われた言葉。
自分らしくいさせてくれない窮屈な世界に、大きなため息を吐く毎日だった。
叱責されること、悪口を言われることに疲れてしまった私は、趣味も見た目も性格も自分以外の人間には全部偽るようになってしまった。

「(こんなの、どこも本当の私じゃないのにな…。)」

自分らしくいたいという欲と、周りからの声や視線の恐怖が葛藤しながらも私は後者を取った。

1人になるのは嫌だったから。