第68話 ページ19
試合観戦もテストも終わって、季節は梅雨に向かっていく一方だった。
「おはよ〜」
「おはよ！今日めっちゃあったかいね〜」
緑「水無瀬さん、おはよう！」
『緑川くん、おはよう。土曜日はお疲れ様！勝ててよかったね。』
緑「ありがとう！水無瀬さんの応援があったからだよ。そういえば俺、水無瀬さんのノートのおかげで10点くらいあがっちゃった！本当にありがとう！」
『すごい…！おめでとう、緑川くん。』
緑「水無瀬さん、今回のテストでもヒロトと表彰されてたよね！皆に教えながらだったのにすごいな〜。」
『あはは…皆に教えるってなったら、もっと頑張りたいなって思って。』
いつも通り緑川くんと雑談をしていると、クラスの大人しい女の子が話しかけてきた。
「あの…水無瀬さん。水無瀬さんを呼んでる子がいるんだけど…。」
『私を…？誰だろう…。』
緑川くんに断りを入れて廊下に出ると、金色の長い髪をまっすぐに綺麗に伸ばした、可愛らしい子がいた。
『(わ〜…かわいい子。まつ毛長くてお人形さんみたい…。)』
ぽかんとした顔で見つめていると、その子が口を開く。
？「貴方が水無瀬紗季ちゃん？」
『あ、うん。そうだけど…。』
桜「初めまして！私、桜庭加恋！よろしくね！」
桜庭さんという子は私の手を握って、嬉しそうに会話を続ける。
桜「ねえねえ、紗季ちゃんってこの間サッカー部の試合、見に来てたよね？加恋ね、ずっと前から紗季ちゃんと仲良くなりたいな〜って思ってたからびっくりしちゃった！」
『そ、そうなんだ…。』
桜「紗季ちゃん、勉強得意だったよね？加恋ね、紗季ちゃんと仲良くなりたいし、勉強も教えてもらいたくて今日お願いしに来たの！あ、私のことは加恋って呼んでね。加恋も紗季ちゃんって呼ぶ！それだけ！答えはまた後で聞きに行くね！ばいば〜い！！」
『え、待って…！』
桜庭さんは、用件だけを全て言うと、教室の方へ去って行ってしまった。
『(嵐かと思った…。不思議な子だなあ。)』
教室に戻ると緑川くんが心配そうな目で私を見る。
緑「水無瀬さん、大丈夫だった？何か酷いこと言われてない？」
『え、いや特には…。勉強教えてほしいのと仲良くなりたいとは言ってきたけど…。この間試合を見に行った時、スタジアムで見かけたって言ってたんだけど私には誰かさっぱり…。』
緑「……そっか。」
『どうしたの？あの子、もしかして有名な子なの？』
緑「桜庭さんは……
晴矢のファンで有名な子だよ。」
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作者名：Haruhi | 作成日時：2024年3月15日 13時
