【️イナズマイレブン】大好きな君に、人生最大の我儘を。I (ページ16)

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第65話ページ16

観客席につくと、彼女はお弁当に手をつけようと手を伸ばしていた。
私はそんな彼女の肩をとんとんと叩き、こちらを振り返らせる。

振り返った彼女は、いつもより大人びていて、それでいてとても綺麗だった。
私の姿を見て、彼女はとても驚いた表情をしている。

『…え！？なんで？！』
涼「今ならここに来ても騒ぐ連中がいないからな。水無瀬さん、お昼は外で済ませるのか？」
『ううん、お弁当…。いつも作ってるから…。』
涼「よかったら私たちと一緒に食べないか？」
『え！？いいの…！？』
涼「ああ、場所を案内するから着いてきてくれ。荷物、重いだろう。持っていく。」
『え？！待って涼野くん…！』

私は私の荷物の全部を持って先に行く。誘いを受けてくれた嬉しさで胸がいっぱいで、ついいつものペースで歩いてしまった。
彼女が後ろから懸命に私を追いかけてくる。運動が苦手な彼女は、走るのもゆっくりだ。だけどそんな彼女が、私には愛おしく見えた。

「(そうか、彼女は女性だ。いつも晴矢と歩く時と同じように歩いてしまった、配慮しなければ……。)」

彼女の小さな歩幅に合わせながら、私は彼女に問いかけた。
涼「今日はいつもと髪型が違うんだな。誰かにやってもらったのか？」
『いつもは校則でできないから…折角だからって、お母さんがやってくれたの。…ど、どうかな？変じゃない……？』

彼女の母親、帰ってきてくれたのか。それでいつもより顔が明るく見えるのか。

彼女は首を傾げて私に問いかけてくる。

愛らしい。髪型も、仕草も。
涼「…ああ、かわいいと思う。君によく似合っている。」
『あ、ありがとう……。』

彼女は顔を赤く染めて、そっぽを向いてしまった。

「(……参ったな。)」

彼女の全てが愛おしく見える。

私はきっと、彼女のことを

本気で好きになってしまった。