【️イナズマイレブン】大好きな君に、人生最大の我儘を。I (ページ14)

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第63話ページ14

第一試合が終わり、私はすとんと座席に腰掛ける。
90分間の試合ののち、涼野くんたちは勝利を収めた。

『(すごい…。ルールとか全然分からない私でも楽しい…！皆かっこよかった…！)』

相手の攻撃を止める愛ちゃん。そこから正確なドリブルとパスで中盤を支える玲名ちゃん、緑川くん、マキちゃん。最後にゴール前で強烈なシュートを打つ基山くん、南雲くん、涼野くん。

『(あんなかっこいい人たちと仲良くさせてもらえているなんて、私は運が良すぎる気がする…。)』
そんなことを考えながら時計を見ると、既にお昼の時間になっていた。
周囲の観客も外にご飯を食べに行こうと一時的にスタジアムを出て行って、観客席は私だけになってしまった。

(第一試合が終わったら涼野くんから連絡が来るはずだから、それまでお昼ご飯を食べていようかな…。)
お弁当箱に手をつけようとすると、携帯の通知音がなった。

(水無瀬さん、今どこにいる？)
(スタジアムの観客席にいるよ。丁度お昼ご飯を食べようかと思ってたところ。)
涼野くんから既読はつくも、返信が来ない。
『(あれ、大丈夫かな…？)』
画面をじっと見つめていると、後ろから誰かにとんとんと肩を叩かれる。
後ろを振り向くと、そこには涼野くんがいた。

『…え！？なんで？！』
涼「今ならここに来ても騒ぐ連中がいないからな。水無瀬さん、お昼は外で済ませるのか？」
『ううん、お弁当…。いつも作ってるから…。』
涼『よかったら私たちと一緒に食べないか？」
『え！？いいの…！？』
涼「ああ、場所を案内するから着いてきてくれ。荷物、重いだろう。持っていく。」
『え？！待って涼野くん…！』
涼野くんはそう言うと、私の荷物の全部を持って先に行ってしまう。私が隣へと走ると、涼野くんは自然と歩幅を合わせてくれた。

涼「今日はいつもと髪型が違うんだな。誰かにやってもらったのか？」
『いつもは校則でできないから…折角だからって、お母さんがやってくれたの。…ど、どうかな？変じゃない……？』

ちらりと涼野くんを見ると、涼野くんは柔らかい笑みを浮かべてこちらを見つめてきた。

涼「…ああ、かわいいと思う。君によく似合っている。」
『あ、ありがとう……。』

涼野くんが、かわいいって言ってくれた……。

『(嬉しい、嬉しい……！)』

嬉しさとドキドキが混ざって、鼓動が早くなる。
自分の顔が赤くなっていることも、なんとなくわかる。

ああ、

好きだな…。