【️イナズマイレブン】大好きな君に、人生最大の我儘を。I (ページ12)

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第61話ページ12

時はあっという間に流れ、ついに試合観戦当日の朝になった。

『……よし、これでいいかな。』
母「うんうん、すごくいいと思うわ！」

私は母の協力もあって、サッカー部全員に配る焼き菓子と自分に昼食用のお弁当を無事に準備し終えた。
初めは頼んでくれた涼野くんや緑川くんにと思っていたのだが、計画を練るうちにいつもお世話になっている皆にも渡したいと思うようになり皆に許可を取ってこうして全員分のお菓子を作ることになった。
梱包を終えて、自分の身支度へとうつろうとすると誰かからの通知音が鳴った。

『(…！涼野くん！)』
(おはよう水無瀬さん。昨日は眠れただろうか？)

好きな人からの連絡に私は準備を後にして返信に注力する。
(おはよう涼野くん。よく眠れたよ〜今皆に配るお菓子の準備が終わって、これから身支度する予定！)
(そうか、全員分用意するのは大変だっただろうにありがとう。)
(いえいえ、楽しかったよ！お菓子なんだけど、最初の試合が終わったら渡しに行ってもいいかな…？)
(分かった、試合が終わったら私が場所を連絡するからそれまで席で待機していてくれるか？)
(うん、ありがとう。試合頑張ってね！応援してるよ。)
(ああ、ありがとう。)

『朝から涼野くんと連絡取れちゃった…！』
不意に口角が緩む。と同時に通りかかったリビングの鏡をじっと見つめる。
鏡に映った自分は、いつも学校にいる素朴な自分と一緒だった。

そんな私を見た母は、待ってましたと言わんばかりに私に話しかける。
母「ねえ、今日は学校じゃないしまだ時間もあるから、髪を緩く巻いてアレンジしてみたら？イメチェンして涼野くんを驚かせちゃえ！」

(確かに…学校だと校則で巻けないからいつもストレートで下ろしてばっかりだったな…。)

涼野くん、気づいてくれるかな…？

『そうしたい、お母さんお願いしてもいい？』
母「もっちろん！とびきり可愛く仕上げるからね♪」

母「…うん、できた！紗季、とっても可愛いわ〜！」
『わあ……！お母さんすごい！」

お母さんが巻いてくれた髪の毛は綺麗なハーフアップになっていて、唇にも春色のリップが程よく塗られていた。

(涼野くん、気づいてくれるかな？
可愛いって少しでも思ってくれますように。なにより、涼野くんたちが試合で勝てますように。)

そんな願いを込めて私は全ての支度を終え、母に見送られながら家を出た。