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※※※ ページ10







『つっ…ヴッ…、ンッ…あっ』


「唇、噛むなよ。」


『あっ…ンッ…む、りで、すっ』


「あと、うなじ抑えとけ、俺でもきつい。」


『う…あ…』


そのあとは恐怖と混乱と悲しみと快感でぐちゃぐちゃだった。


親代わりの主人の見せる、男である顔と行為と。


自分がΩで遊女になるんだという現実が、突きつけられる。


容赦無い行為に快感を見出しながら、自分から女のような声が出ること嫌悪感を覚えた。


主人はαだ。


うなじをヒートの行為中に噛まれれば番になってしまう。


今はヒートではないが、うなじを噛まれることに恐怖を感じた。


必死にうなじを抑えた。


何度か主人に手の上から噛まれた。


口の中が鉄の味としょっぱい味がした。


お尻も腰も手も、痛かった。


何より心が痛かった。


主人のαのフェロモンにも当てられたのだろう。


そのあとの記憶はない。


ただ、部屋に響く水音と衣擦れの音。


青臭いような栗の花のような匂いは覚えている。


これが俺が遊女になった日。






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作者名:夜兎 | 作成日時:2023年9月5日 22時

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