37匹 ページ38
Unknown side
僕はどうしてここにいるのか、
いつから存在するのか、
解らない。
意識があるだけで実態を持ったのはいつからか。
僕はただ生まれたい。
ただ愛されたい。
それだけなのに。
いつのまにかそこにいた僕たち。
母はなく、無機質に大人たちは僕たちを袋に詰め込み捨て置く。
ひとり、またひとり、そしてまたひとり。
愛してくれるママを探した。
ママはいない。
ママはいない。
ママじゃない。
ママってなに？
愛されない僕は消えたほうがいい。
僕はなににでもなれるんだから。
その白い空間に包まれた瞬間、僕に何かが触れた。
それは刃。
薄紫に輝く切先は鋭く僕の首筋にツプリと食い込んでいく。
自分の境界が曖昧になっていく。
同時に目の前のなんとも言えない悲しそうな表情が見えた。
僕を見つめる瞳は揺らめいて。
恐怖、怒り、絶望、欲望、好奇心。
今まで取り込んだ人間とは違う表情。
目線が交わり、少しこの人の感情が流れ込んでくる。
嗚呼、そうか。
これが愛か。
＊
＊
作者が好きなバンドの初期の曲を題材にこの呪霊を書きました。
かなり古い曲なのでわかる人いないのでは…
術式が乙骨くんに似てしまった気がしますが悪しからず。
堕i胎された赤子の呪霊です。
五条落ち目指してるのに全然悟が出てこなくてごめんなさい。
廃病院編が終わったらたくさん出すので…
以上作者より。
続く
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作者名：夜兎 | 作成日時：2022年11月7日 23時
