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29匹 ページ30

五条side


父親のクソ発言から2日。


ついに縛りを設ける儀式の日になってしまった。


あの後、色々あったが、あいつの術式やここまでのこと、周りのことを含め、何よりもあいつを守る為にも縛りを設けることを選んだ。



当の本人の決意は堅く、俺との縛りを望んでいたのが意外だったが。


まるで利用されるようなものなのに。


厳かな儀式会場、しめ縄が張り巡らされ封印の結界と札が所狭しとはられた場所。


あるのは、蝋燭の明かりと、白い着物に身を包んだふたりと見届け人がひとり。


やり方は知っている。


そして条件は大人たちで決められた。


その1:幻中Aは五条悟に忠誠を誓うこと。
その2:幻中Aは五条悟と子を成すこと。
その3:幻中Aは五条悟が死ぬ際は自分も死ぬこと。


この3つだ。圧倒的にAの方がデメリットが大きい。


その代わり五条家がAを養育することを約束した。


3番目の縛りは五条家相伝と六眼を持つ俺に唯一対抗できるAに絶対に反抗させない為だ。


保身とこの子を徹底的に飼い慣らしたい大人の意向が見て取れる。


(つくづく、クソな大人たちだ。)


しかし、Aはこれを受け入れた。


自分の力を手に入れ、居場所を1人でも保てるように。


「ッツ…」


小刀で指を少し切り、滲む血を盃に注がれた酒に混ぜる。


ふたりでそれを交換して飲む、つんとした匂いが鼻を抜けていった。


それは秘密の約束のようで、永遠の誓い。


儀式は重要な場面に差し掛かる。条件を俺が読み上げる。


『その1ーーーーーーーーー』


『その2ーーーーーーーーー』


そして最後。


『その3、幻中Aは…』


『幻中Aと五条悟はどちらかが死ぬ際、死ぬものとする』


「えっ?」


目の前で赤い瞳が見開かれる。


カチッと鎖が掛けられるような音がした。縛りは完成した。


もうとっくに俺はこのAに惚れていたらしい。


「悟様!!!」


見届け人の焦った怒鳴り声のような声が聞こえる。


「行こう。」


何もかもが腐ったこの家でAだけがいればいいと思えたから。


またしてもAの手を掴み、外へとふたりで逃げた。



 

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作者名:夜兎 | 作成日時:2022年11月7日 23時

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