【 HQ !! 】※ だから ､ 女だってば 。【 黒尾鉄朗 】

女ですけど 08 ページ8

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「 お待たせ 〜 !! 」



集合時間の20分前だというのにも関わらず ､ 集合場所には二人の人影があった 。
親友は黒尾先輩ともう一人 ､ 見慣れない人物に向かって手を振る 。

あのプリン頭の人が親友の彼氏らしい 。
集合場所に向かうまでの間に親友が自分の彼氏について軽く教えてくれた 。
孤爪研磨先輩という名前だそうだ 。

彼は千春と目が合うと少し恥ずかしそうに小さく手を振った 。

でも千春が彼氏できる前はガタイのいい人が好きだと言っていた気がする 。
まあ ､ 二人が幸せならいいか 。

そんな現実逃避をよそに ､ ずっとこっちを見てくる視線を感じる 。
オシャレは全然嫌いじゃないし ､ 学校の知り合いに休日の姿を見られることに恥ずかしさもない 。
だが ､ ずっとこっちを見てくる .. 所謂ガン見をされると ､自分も普通に気まずい 。
とにかく小さくなって親友の後ろに隠れよう 。
そう決意して後ろにスッと隠れると ､ 黒尾先輩に腕を掴まれ引っ張られる 。

『 ワッ、！ 』と驚き体勢が崩れる 。
そのまま倒れ込むように黒尾先輩の胸に飛び込んでしまった 。

出会って3分ぐらい 。
黒尾先輩はいまだに口を開いてない 。
僕と黒尾先輩の間には葬式のような空気 。
そんな空気をお構いなしに2人の世界に入っている親友と孤爪先輩 。
いたたまれないな ､ と思っていたら ､ 重い空気を切るように黒尾先輩が口を開いた 。



「 やっぱり ､ 私服のときだといつもより可愛いね 。Aちゃん 」

「 はいはい ､ 休日だとちゃんと女の子らしい ､ え .. ? 」

「 Aちゃん ､ 可愛いね 」

「 は ､ な .. え ､ .. ? 」



いつもはフルネームで呼ぶくせに ､ 可愛いなんて今まで一度も言ってこなかったのに 。
突然の情報量で頭がパンクする 。

僕は女の子にはモテるが ､ 男の人には一切モテたことがない 。
こんな性格だから友達も親友の千春ぐらいしかいない 。
つまり ､ だ 。
僕は男の人に女の子扱いされたことが無いから ､ どうすればいいのか分からないのだ 。

頬は熱いし ､ 黒尾先輩と目なんか合わせられない 。
何か言おうとしても ､ 意識して ､ 動揺して ､ 上手く喋れない 。

そんな様子を見て面白そうに笑う黒尾先輩 。



「 普段からすました顔してるくせに ､ そんな可愛い表情出来るならもっと早くやっておけば良かったな 」

「 .. 冗談は顔だけにしてください ､ ! 」



「 冗談じゃなかったらいいの ? 」





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