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ランちゃん登場 ページ8

ラムが怒りに任せてバチバチと電気を放出するとそれはそのまま空中に溶け込んでいく。本気で怒っているのが誰の目にも分かった。そしてラムはレイに掴まれたままの俺の首に縋り付くと、寂しげに呟いた。
「だからお願い、レイ。ダーリンを殺さないで。うちの大事な人だから……」
「………ラム」
ラムの瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。レイはそんなラムを見つめて、もうすっかり力が緩みきっていた手を突然離したものだから、俺は真っ逆さまに地面へと落ちる。
「どわっ」
「ダーリン!よかったっちゃ〜!」
レイは俺に飛びつくラムを見て大粒の涙を浮かべると、窓を突き破って外へ出ていこうとする。
「ぶ、ぶ、ぶも〜〜っっ!」
「ラムちゃんを泣かせてしまったからもうここにいる資格はないと言っとるで」
鳴き声をあげてそのまま去ろうとするレイの背中に、俺は声をかける。
「待てよレイ」
「ダーリン?」
レイが不思議そうな顔をして振り返る。全員の視線が俺に集中するのを感じながら、こほん、と咳払いをする。
「まぁその……なんだ。お前にはラムだけじゃないだろ。そうやって別れた女に固執ばっかりしてると本当に好かれてる奴にも嫌われるぞ?」
「うーん、最高に説得力のない言葉やな」
ジャリテンがそう呟くので無言でぺぺんっとフライパンで叩き落とす。
「ダーリン、本当に好かれてる奴って?」
「多分そろそろ来るんじゃないか?」
するとドタドタドタと階段を駆け上がる音が聞こえ、俺は待ってましたと言わんばかりに振り返る。ラムとジャリテンは不思議そうに扉を見つめた。
「レイさーんっ!こんなところにいたのねー!」
「ランちゃーーん!そろそろ来るんじゃないかと思ってたんだよ〜〜!!」
現れたのは、同じ友引高校に通う可憐な美少女、ランちゃんだった。そろそろ来るのではないかと思っていたがその通りであった。
「ら、ランちゃん……ダーリン、なんで来るって分かったんだっちゃ……?」
「うーん、レイの鳴き声に敏感なんじゃないかと思ってな〜。この前も教室に声を聞きつけて来てたし……」
「じゃぁさっきレイを引き留めたのももしかしてランちゃんが来る時間を稼ぐために……?」
ラムのその言葉に、レイに夢中だったランちゃんの動きが止まる。そしてランちゃんがこちらを見つめてくるので、にこーっと笑い返す。

なにも残らない→←レイの叫び



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作者名:如月フウカ | 作成日時:2022年11月2日 21時

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