05 ページ6
「はぁ、何してようかなぁ」
Aは暇を持て余していた。
いつもなら子供たちと一緒に遊んだりテレビみたり…。
賑やかな声が家中響いているのだが、その子供たちは母と兄に連れられて楽しみにしていた七夕まつりに出かけている。
何かすることはないかと考える答えに、が生憎掃除や洗濯などは全て終わらせていた。
Aはふいに静かな家に寂しさを感じる。
「…あ」
ポンっと下腹部に違和感を感じた。
お腹に手を当てて「そうだね〜」と語りかける。
「寂しくなんかないよね。だって貴女がいるんだから」
ポンポンと優しく撫でていると机に置いていた携帯から着信を知らせる音が鳴った。
手に取り画面を見ると母と表示されていた。
「もしもし、お母さん?」
なにか問題でもあったのだろうか?
向こうからは何やら沢山の雑音が聞こえてくる。
中には少し悲鳴も混ざっていた。
「…お母さん?」
中々返事が返って来ず、それが彼女不安を煽った。
『あ、A…?』
いつもの母の声が聞こえ、少なからずAは安堵した。
『名前、よく聞きなさい。さっき山車が民家に突っ込んだの』
「…?!咲翔と智咲は!!」
『…安心しなさい。二人とも無事よ。智咲の方は転んでちょっと擦りむいちゃったけどね』
Aは「良かった…」と呟くと改めて今の状況を母から聞いた。
『私も睦月も無事だけど何せお祭りだからね、少し現場が混乱してて…』
母が言うように先ほどから電話越しに救急隊であろう声や一般の人々の声などが交じって耳に入ってきていた。
正直に言うと母の声も聞き取り辛い。
『睦月は知り合いも多いから皆の治療にあたると言ってて…』
「しょうがないよ。お兄ちゃん、医者だもの」
『…そうよね、お父さんもそうだったものね』
母はクスリと笑うと「タクシーが捕まり次第そっちに帰ります。」と言って電話も切った。
Aは耕作にも報告をと思い電話に手を掛けたがやめた。
元救命救急医の彼だ。
もしかすると駆り出されるかも知れないと、ふと思ったのだ。
最近、救命の時に世話になった上司に戻って来ないかと言葉をかけられたと聞いていた。
脳外科でバリバリ働いているか彼にそう言ってくるということは深刻な人手不足なのだろうと分かっていた。
(耕作は今の所戻る気はないようだが…)
今日の約束のことはどうなってもいいが子供たちの事だけはと思い、Aはメールを作成した。
1495人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
笹原美桜(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2021年10月31日 20時) (レス) @page26 id: 9ad5622aaa (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 続きがとても気になります!お忙しいとは思いますがよろしくお願いします! (2019年8月18日 9時) (レス) id: e53dcff47d (このIDを非表示/違反報告)
鈴木結衣(プロフ) - 続き楽しみです! (2018年9月13日 17時) (レス) id: 27e27da5f6 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 読んでみて面白かったです。更新しないんですか? (2018年4月7日 11時) (レス) id: 984f627d8c (このIDを非表示/違反報告)
藍pon(プロフ) - これからどんな展開になるか楽しみです!これからも頑張ってください! (2018年1月1日 1時) (レス) id: 86b2651b30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うるる | 作成日時:2017年9月25日 6時