救命医の家族

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＿＿＿＿＿＿翔陽大学付属北部病院


耕作は悩んでいた。

先ほど上司である西条より聞いた話のことで…。




『トロント大よりレジデントの話がきている。翔北(うち)としてはお前か新海にと思っているんだ』




脳外科医としてこんなに嬉しい話はない。

自身か新海か、西条はまだ決めかねていると言っていたが自分が選ばれるような自信が、耕作にはあった。

だが家族のことを思うと、迷いが生まれる。

子供はまだ小さい、妻は妊婦だ。
＿いや、年明け(そのころ)にはもう産まれているだろうが…


西条には家族に相談させてくれと一言添えた。

幸い今日は7月17日。

Aと食事にいこうと約束した日である。

そこで相談しようと頭の片隅に置いた。

と、思えば医局の電話が鳴った。

…先ほどヘリが帰ってきたのを窓越しに見かけていた。

また救命のほうだろうなと思いつつ、耕作はで電話を取ったのだった。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊



「今日はよく呼ばれるな」

「藍沢先生…！」


耕作は治療室に入るとすぐに患者の目を見た。


「瞳孔不同はおそらく末梢性だろう。腹の止血が済んだらCT撮ってくれ。そこでもう一度診察する。」

「わかった」


耕作は白石に伝えると邪魔にならないよう端による。

フェローたちも新人ではないのだから動けるだろう。

自分たちもそうであったように、実践を積まなければドクターヘリの医師どころかフェロー卒業もできない。

耕作はそう思いつつ、白石にたちを見守る。


が現状、見守っていられる状況ではなかった。

指示されたことにすぐに対応できない。

出血に対して恐れをなして手を離してまう。

これでは患者が危ない。

彼はそう考え青色の手術服に手を通すのだった。






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《捕捉》

実際、家族がいる方にこのようなお話(トロント大レジデント)は来ないかも知れませんが、西条先生は藍沢の腕を見込んでお話したということでお願いします。

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