20 ページ22
ヘリの墜落、2週間の出動停止。
そしてフェローである灰谷の事故。
色々と問題が重なったが、なんとかいつも通りの救命の姿を取り戻していた。
ヘリの出動停止から1週間。
毎日救急車で患者が運ばれてくる中、今日の救命依頼はとても少なかった。
耕作はいつもより早く帰宅できるかも知れないと思っていた。
その時までは…
**********
「いつもありがとね、お兄ちゃん」
「かわいい妹と甥っ子か姪っ子のためならこんなのなんてことないさ」
Aは健診に向かうため兄である睦月に車を出してもらっていた。
「はぁ…なんだか俺もドキドキするな。もう少しで産まれるのか……」
「なんでお兄ちゃんがドキドキしてるのよ〜私の方が緊張するはずなのに…」
「はは!そうだよなあ」
信号が赤になり、白線内に車を止めた。
睦月は隣にいるAへと顔を向ける。
「…で、藍沢は立ち会えるのか?」
「うん。一応どうなってもいいようにめぐちゃんが出来るだけ手配するって言ってくれてたから大丈夫だと思う。まあ、今回は前と違って1人だし別にいいかなぁとも思ってるけど」
「お前なぁ…」
「耕作の邪魔、したくないし」
「はぁ…」
溜息をつきながら青信号に変わったため車を発信させる睦月。
「前とは違うといっても、出産だ。双子のときは奇跡的に自然分娩で出来たが、今の子もそうであるとは限らないんだぞ」
「その話は、耳にたこが出来るくらい耕作から聞いてる」
「…なにがあるかわからないんだからな」
妊娠、出産は命の奇跡だ。
睦月は医者になってから何度も診てきたし、実感していた。
今、この瞬間にも何がおこるか。
それは誰にもわからないのだ。
Aもわかっているはずだ。
とは言ってもこれは夫婦の問題。
睦月はそう考え、話を終わらせた。
車内には不穏な空気が流れる。
また信号が赤になった。
睦月は今日はよく止まるなと感じていた。
と、目の前の十字路…自分から右手側からクラクションの音が鳴り響いている。
また、パトカーのサイレンの音も。
Aはその音にびくっと体を揺らした。
段々と大きくなる音に睦月は不安を覚える。
信号が青になるが、何が起こっているかわからないためその場に少し留まっていた。
すると猛スピードでかけてくる黒いワゴン車。
その車は曲がりきれずこちらへと向かってきたのだった。
1495人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
笹原美桜(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2021年10月31日 20時) (レス) @page26 id: 9ad5622aaa (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 続きがとても気になります!お忙しいとは思いますがよろしくお願いします! (2019年8月18日 9時) (レス) id: e53dcff47d (このIDを非表示/違反報告)
鈴木結衣(プロフ) - 続き楽しみです! (2018年9月13日 17時) (レス) id: 27e27da5f6 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 読んでみて面白かったです。更新しないんですか? (2018年4月7日 11時) (レス) id: 984f627d8c (このIDを非表示/違反報告)
藍pon(プロフ) - これからどんな展開になるか楽しみです!これからも頑張ってください! (2018年1月1日 1時) (レス) id: 86b2651b30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うるる | 作成日時:2017年9月25日 6時