◀︎51話▶︎ ページ3
ドフィが去ったのを確認してコラさんに駆け寄る｡
『コラさん…』
左手で触れた頬は雪のように冷たかった。
コ｢ビア､もう行け……俺は､もう助からない｣
『うん』
コ｢お前を助けてやれなくて悪かったな…｣
『ううん､私が自分で決めた事だもん｡必ず､お母さんの仇もコラさんの仇もとるから｡だから､安心して…』
コラさんは冷え切った手で私の手を握ってニコリと笑った｡私もぎゅっと力の限りその手を握り返した｡
コ｢ビアも、ローもお前らは自由だ…好きに生きろ｣
『……うん』
コ｢ありがとな……｣
コラさんは独り言のようにそう呟いて静かに目を閉じた｡コラさんの血で染まった手のひらを見つめて､ぎゅっと握る｡
立ち上がって､涙を拭って､コラさんに背を向けて船に走った｡
その日､眠れなかった私は甲板に出ていたた｡今日は満月だ｡水面に映る自分の髪は元の茶色ではなく､月と同じ様な白銀だった｡そして瞳は血の様な赤色に染まっていた｡
初めて見た満月はとても綺麗だった｡
コラさんを思い出して､いっそこのまま私も死んじゃおうかななんて考えて海に浮かぶまん丸い月を見つめていた｡
ギィ…と背後で甲板の扉が開く音がする｡振り返ると､出てきたのはドフィだった｡ドフィは変貌した私を見て少し驚いた顔をした｡
ド｢おいビア…!!何やってんだ｣
『ごめんドフィ』
満月を見つめる私を見てドフィは少し焦っているようだった｡
『でも見て､私半分人間だから平気みたい』
そう言って白くなった髪を見せる｡
ド｢本当に大丈夫なのか｣
『うん､残念なことに見た目が変わっただけ｡所詮ハーフじゃ力も強くならないみたい』
ド｢ならいい｣
なんでのは嘘だ｡今私の中から今までに無いほど力が湧いてきて､戦いたくてうずうずしている｡
今なら目の前にいるこいつを殺せるんじゃ無いかと思うほど｡
落ち着け､ドフィを殺すのは私がもっと､もっと強くなったら､と自分に言い聞かせる｡
『もう眠くなっちゃったから寝るね､おやすみ』
この殺意がドフィに届く前に背を向けて部屋に戻った｡鏡に映った姿は､まるで自分じゃないみたいで少し怖さを覚えた｡
続く (更新停止中)
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作者名：うらうめ | 作成日時：2023年11月28日 20時
