五話 by朱菜@�� ページ7
「……ったく、ホントにあんなガキが継げんのか？」
「だからそう説明したんじゃないか」
「彼奴に荒事をこなせるだけの度胸があるようには思えねェ。幾ら異能が強かろうと使いこなせなきゃ意味がないだろうが」
翌日の夕刻。太宰を回収し歩いていた中也はそう太宰に問いかけた。
思惑通りに事が進むとは思えない───意見に、太宰はハイハイと適当な返事のみであまり気にしていないようだ。
「……で、なんだ？そのでかい紙袋は」
「何だと思う？」
素直に教えない太宰に中也は不快そうに舌打ちする。こういう時は碌なものでないと長い付き合いで悟ったのだ。
二人が向かっていたのは、喫茶うずまき。入口の窓硝子に目を擦る国木田の姿が見え、にやりと笑った太宰が扉を開いた。
「それは私の合図さ〜♪」
「うわあああ！」
途端に椅子で騒々しい音を立てる国木田に中也は気の毒そうにこめかみを押さえる。
「いやあ、いつ聞いても国木田君の悲鳴は素敵だねえ。その反応、寿命が縮まっていくのが肉眼で見えるかのようだよ」
「いい加減胃に穴空くぞ……」
いつもの紅茶ね、と女性店主に声をかけている辺り全く気にしていない太宰に溜息をつき、俺もお願いしますと声をかけて谷崎の隣に着席した。
「太宰……お前、何をしに来た」
「え？それは勿論、国木田君の寿命を軽く縮めに」
言葉を完全に云い切る事はなく、国木田に首を締められわしわしと揺すられ始める太宰。
そんな相棒の様子を気にも留めず、中也は運ばれてきた紅茶を口にした。相手にするだけ時間の無駄だ。
「お前はっ！どれだけ俺に苦労を掛ければっ！気がっ！俺がっ！どれだけっ！」
「うへははははは」
「ま───まあお二人とも、店内ですから」
「諦めろ谷崎、このポンツクになんざ云うだけ無駄だ。国木田も程々にしとけよ」
最早太宰には言及せず、未だ話の通じる国木田にのみ形だけの説得をする中也。
そんな彼に谷崎はそんなぁと情けない声を零しながら、既に慣れた様子で温かい目線を向ける客や店主に愛想笑いを浮かべた。それしか術がないのだ。
「(どちらかというと中也さんが太宰さんと喧嘩し始めた時の方がめんど……否、収集をつけるのが大変なンだけど……)」
「お前は自由すぎだ！今日もこんな時間になってから顔を見せおって───」
最早小言ではなく恨み言を叫ぶ国木田に楽しげに揺られる太宰、居心地の悪げな顔をする谷崎。
収集のつかぬ店内に、中也は再び溜息を零した。
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落児圭 - 『続く』の時点までで素敵すぎます……! 頑張ってください、そして語彙を分けて下さい……。 (2020年4月13日 8時) (
レス) id: 633d656cad (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - BEASTの後書きのやつを実際に書いてくれる方がいたとは...！まだ一話ですが、既に面白そうな予感しかしません、頑張って下さい！ (2020年3月30日 16時) (レス) id: 2807062db2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒洞揚羽、朱菜@��、陽愛 x他3人 | 作成日時：2020年3月25日 14時
