《呪術廻戦》痛みの数だけ指を折る (ページ3)

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出会いページ3

これで最後か。
　紅白の巫女服を着た女が左手にもつナイフに付いた呪霊の液体を振り払う。
女が張った夜の膜の外。彼女を狙う人影ふたつが夜の膜を破った。ピク、と女が反応する。

　帳が破られた。何者？呪詛師？

　思考を回す無防備な少女の意識を刈り取らんと侵入者の手がすでに彼女の首筋へと伸びていた。
手刀を繰り出す白髪の男の顔がとった、と勝ち気に歪む。

　 ――――――――パチン。

「は？」

　女が指を鳴らした瞬間。
瞬きほどの一瞬で、女は白髪の男の前から姿を消していた。
背後へと回った女の気配を追って白髪の男が振り返るが、身を固めた。巫女服の少女は、街灯へ足を組んで優雅に腰掛けていた。彼女の白い手は男がかけていたはずのサングラスを弄んでいる。
油断して空を閉じ込めたような瞳で女の術式を確認していなかったのが運の尽きというべきか。

　白髪の男はナイフの檻に閉じ込められていた。
あの一瞬でできるような芸当ではない。どうなってるんだ、と目を見張った。

『何のつもり？呪詛師？それとも猿かしら―――って、え？五条悟？』
　冷酷な表情で問い詰める女の顔が驚愕に染まる。
五条家の坊ちゃんは高専に入学したんじゃ…と少女が口の中でもごもご呟く。苛立った五条と呼ばれた男は任務だよ！と叫んだ。

『は？任務？』
「高専で登録されてる呪霊が未確認人物に祓われてるから捕縛しろっつーな」
　無限を張った上でナイフをつんつんと突くが、びくとも動かない。なんだこれ、と一周回って興味まで示し始める五条に女は溜息をついた。

『じゃあもう一人は？』
「えーっと…お前の後ろ♡」
『は？』
　極限まで気配を消した男が女の背後を取っていた。
彼女が振り向くよりも早く呪霊を展開する。ドガァン、と派手な音と共に土煙が上がる。

『危ないわね』

　少女はまたしても男の呪霊をいなし、攻撃を避け切っていた。
視認するよりも前に繰り出したはずの攻撃を。女は無傷で立っていた。

『高専の子達は友好的に話ができないのかしら』
「それは君次第だろう」
　五条をチラリと見つつ黒髪の男が言う。
五条は助けてーと下手な泣き真似をして黒髪の男はそれに眉間をかいてちょっと黙っときなと黙らせた。
めんどくさそうな表情を作り女がパチン、と指を鳴らすと、五条を捕らえていたナイフがばらばらと音を立てて落ちた。

『自己紹介が遅れたわね。私は常磐楓』
「え、常磐楓ってあの？」

『ええ、いかにも。私が常磐家の当主よ。』