第3話 ページ6
入学式から数日。
時透双子の妹だと知られた私は兄さんたちと居ても睨みがほとんど来なくなった代わりに兄さんたち目当てで私と仲良くしようとする女の子たちに囲まれるようになった。
そんな中でも、心から友だちだと言える子が何人か出来たのだ。なほちゃんやきよちゃん、すみちゃんという子に累くん、そして千寿郎くんだ。
千寿郎くんは歴史の煉獄先生の弟さんらしく、彼もまた煉獄先生を目当てに近付いてくる女子に苦労しており数少ない共通の悩みを持つ親友だ。イケメンでモテる兄を持つと大変だよね……とよく2人で話している。
累くんは大人しそうな見た目に反してかなり物騒で、兄さん目当てで千寿郎くんや私に近付いてくる女子が居ればあやとりの糸を見せて切り刻むよ?と脅している。怖いけど、あまり強くは言えないから彼の少し過激過ぎる行動に度々救われていたりする。
きよちゃん、すみちゃんになほちゃんは水溶液とかも含めた薬に強く、私に嫌がらせをしてきた人のお弁当に下剤を仕込んだりしている。怖い。でも化学の大きな味方で少し発展したようなところまで分かりやすく教えてくれる。
ちなみに私は留学していたので当然だが英語、あとは国語や地理に強い。
累くんは数学、千寿郎くんは歴史と地理と公民。
いっそ綺麗なくらいに得意教科が分かれている私たちはよく放課後の教室で勉強の教え合いをしていた。
『ねえねえ、この実験ってなんでこの工程を入れるの?』
「あっ、それはね〜〜〜」
分かりやすく噛み砕いたきよちゃんの説明を聞いている隣で累くんは千寿郎くんに教えてもらう。
これが放課後のルーティーンのようなものだった。
そして、
無「A〜」
毎日のように無一郎兄さんが教室まで迎えに来てくれる。いつも無一郎兄さんの声が勉強会のお開きの合図だった。
そのあとは兄さんたちと紅葉組の仲良しメンバーで帰る。
この時間が何気に一番楽しい。授業も得意・苦手関係なく楽しいが、やっぱり友だちや兄との時間に勝るものはない。
『また明日ね〜!』
「ばいばい!」
「宿題分からなかったら聞いてね!」
『うん、ありがと!!』
兄さん目当てじゃない、心からの友だち。
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作者名:すぴか。 | 作成日時:2023年1月10日 10時